MRIの検査から大分時間が経ったが、神経内科医師が同席できるタイミングで説明を受けられるということで仕事を休んで両親で病院に赴く。

 

待っている時間にそうちゃんに面会していると、前からお願いしていたABR(聴性脳幹反応)検査ができるということで検査に立ち会う。

個室なので、いくつか干渉しそうな電子機器のコンセントなどを移動させたりしたが、そのまま病室で行われた。

祈りながら見守ったが、これといった波形は出ていない。

検査を行っている方々に聞いてみたい気もしつつ、黙々と作業されていて、良い結果とも思えないので聞く勇気が湧いてこなかった。

後刻、やはり明確な波形は見られなかったとの判定だった。

 

夕方、予定より40分程度遅れて医師との面談が開始した。神経内科の医師から、MRIの結果について説明を受ける。

先日概要で聞いた内容とほぼ同じ内容であり、いくつか不明点を確認。

他に生きている脳細胞が機能を代替する可能性について聞くと、基本的に生きている脳細胞群は見当たらず、不可逆的との所見は同じで、脳梁の繊維は一部生き残っているように見えるが繊維だけでは回復しないとのこと。

手足が動かないのは頚髄損傷の影響があるように思え、ダメージがどれくらいあるのかについて聞くと、1~3番目くらいまでの頚髄が壊死していると思うがダメージがどれくらいかはわからない、断絶しているわけではなく、断絶する見通しまではないとのこと。

他にそれよりも下の脊髄に問題はないか聞くと、今回のMRI検査は頭部をメインに撮影しているのでわからないが、排尿や排便ができているので脊髄が全体にわたって損傷しているわけではない。反射の動きは今後出てくる可能性がある(そのような例を見たことがある)とのこと。

 

その後、頚髄損傷であれば再生医療の適応にならないか等、前向きなリハビリや治療についてこちらから質問し、心臓血管外科の主治医から回答を受けた。

 

概ねこちらの質問が終わったところで、ずっと黙って聞いていた内科の医師より、そうちゃんに対する今後の優先順位としては副鼻腔炎等の感染対応が最も重要であり、蓄膿症に対し有効な治療ができない場合、副鼻腔炎の悪循環を繰り返し、抗菌薬が効かなくなると治療の方向性が見えなくなることもありえること、前額部の骨破壊が拡大すると、実際、過去にそのような患者・家族がいたが、見ていられない顔貌になる可能性もある。どこまで治療を続けるかについても考えておいてほしいといった話をされた。

 

特に明言されたわけではないが、前向きなリハビリや治療について聞いていた私の姿勢や態度を咎められた気がして口を噤む。

つまり、既に脳の機能不全は不可逆で予後不良であり、いかに今の状態の悪化を進行させないかしかないのだから、どのように看取っていかれるのかを考えてほしいというニュアンスに聞こえたのだった。

これまでの診断からすれば当然なのかもしれない。

 

毎日の面会では、前向きな気持ちで「ゆっくり治そうね」等と、そうちゃんと向き合っているが、医師との面談で厳しいことを聞き、現実を突きつけられる。

2ヶ月間、この繰り返しだったように思う。

しかし、私はそうちゃんの回復する可能性を捨てきれない。

それを否定して、どのようにモチベーションを保てばよいのかわからないのだ。

そうちゃんに接する方々皆にも、もう絶対に治らないというスタンスではなく、前向きに考えてもらえないかと思うが、医師にそれを言う気にもなれなかった。