昨日、今後腎機能、肝機能障害が起こる可能性があるため、血液透析を開始した。

出血は改善傾向であり尿も出ているので問題ないそう。

人工心肺装置(正しくは補助循環装置)も血栓傾向なく順調。

補助循環装置の補助は6~7割であり、縫合部の止血が確認できれば、サポートを減らしていき、離脱可能かを評価するとのことだった。

 

補助循環装置は長期に装着すると、血栓が生じて血液循環が停止したり、多臓器不全となるリスクが高まるため危険である。

血液が固まらないよう抗凝固薬を使う必要があるが、血液がサラサラになりすぎると出血が増えるためバランス調整を要する。

 

一方、合併症によって装着した場合の補助循環装置からの離脱は、成功率が10〜30%。難関である。

1時間もの心停止をしたそうちゃんはもっと厳しい確率になっている可能性もある。

 少なくとも、現段階で補助循環装置のサポートが6〜7割もあるのだから、離脱は遠い先ではないか。

 

絶望しかけていたところ、朝の面談で医師から「ここまでの経過が順調なので、今日、補助循環装置の離脱手術を行いたい」と提案があった。

 

上述の疑問をぶつけてみると、自力でどこまで血液を送れる状態かは、実際にサポートを減らしてみないとわからないのだそうだ(サポートを下げすぎると血栓のリスクが高まるため、手術環境を整えずに漸減することもできない)。

サポートを減らしていって、自分の心臓でしっかりと拍出できれば離脱できるが、最後の1~2割のサポートから離脱できずに失敗することもよくあるそうである。

 

直面すると、失敗すればほぼ死を意味するため恐ろしさはあったが、今のタイミングを逃せば状況が悪化するかもしれない。チャンスがあるのであれば、医師の判断に任せるしかない。

 

了承した後、麻酔科のH医師から手術の説明を受けた。

率直に話してくれて信頼できる方だが、やはり今回の離脱手術は五分五分で、やってみないとわからないとのことであった。


その後の面会で、そうちゃんに手術をすることを伝えた。

体温のある状態で会えなくなるかもしれないと思いながら、「ここ、大事だぞ」と声を絞り出した。

 

そうちゃんを乗せたベッドを手術室に送り出す時に、話せないそうちゃんの代わりに誕生日と名前の確認をして、手を触って励ます。

H医師が、絶妙なタイミングで「それではお任せ下さい」と仕切り、私から医師の皆さんに「よろしくお願いします!」と声をかける。

まだ現実味がなく、この光景がドラマのようだと客観的に感じる自分もいた。

 

そうちゃんは約6時間の手術を耐え、補助循環装置の離脱に成功した。

大きな山を越えたが、徐々に心不全になり補助循環装置が再度必要になることがあるとのこと。

急変に備えて、心臓にすぐアクセスできるよう胸から張り出す形に置かれ、開胸管理をすることになった。