結局内見者が現れないまま6月になりました。
太郎さんは折角家賃を見直したのに拘わらず反応がさっぱりなのでがっかりしました。
でも気を取り直して活動を開始しました。
「花子!さあ6月攻勢だ!」
「おお!頑張れー」
「でもアニキ、先月は5月攻勢と言っていたじゃない。結局効果なかったの?」
「うるさい、黙れ。 今月こそ満室にするぞ!」
掛け声だけは勇ましい太郎さんでした。
6月に入った週末のある日、太郎さんはアパートの定期巡回に出かけました。
今度は共用部の清掃はきちんとされていましたが、ゴールデンウィークに抜いたはずの雑草は再度延びていました。
そこで太郎さんは再度雑草取りを始めました。幸い、雑草はさほど伸びていなかったので2時間ほどで終了しました。
その後帰りがけに駅前のチバラギ不動産に立ち寄りました。
「おや太郎さんじゃないかい。元気そうだね」
「白鳥礼子さん、この前はありがとうございました」
「太郎さん、どうだい調子は?」
「さっぱりです。礼金をゼロにして家賃も6.7万円にしたんですが全然問い合わせがありません」
「そうけえ、その家賃じゃ未だ高いだっぺ。6万円以下じゃないと今は決まらん」
「え、そうなんですか」
「店頭のチラシの家賃は一応6万円以上でも内見者が値下げを要求するのでなあ」
「うーん、そうなのかあ」
その後、白鳥礼子さんはびっくりする話をしました。
「あんなあ、今朝の新聞を読んだかい?ニコポン光学が赤字決算出したらしい。ほんでもって場開設が延期になると書かれていたなあ」
「いえ、知りません」
白鳥礼子さんは地元紙「チバラギ新報」を持ってきて見せてくれました。
そこには「ニコポン光学赤字決算。手取工場開設延期か?」と大きく掲載されていました。
「これは大変だ」
「そうじゃなあ。今建築中のアパートはニコポン光学の工場を当て込んで建てているので大打撃じゃ」
太郎さんは暗いニュースを聞いてがっかりして帰宅しました。
家に戻って購読している全国新聞を読みましたが、ニコポン光学のことは赤字決算発表とだけしか報じておらず、リストラ策は今後検討するとの事しかありませんでした。
「もしかしてチバラギ新報の記事は憶測かも?」
確かに「チバラギ新報では工場開設延期か?」と確定情報ではありませんでした。
太郎さんはそのことに淡い希望を描いていました。
ところが
つづく


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