憂鬱な日々が始まった。通常、SVの巡回は週2回程度だが、棚橋はよっぽどこの童子をいたぶるのが楽しいだろう。ここのところ一日置きくらいの頻度で店に顔を
出しやがる。
『童子オォナァ!アレもコレも入ってない!やる気あんですか!?』ネチ
『童子オォナァ!バックルーム汚いっすね!やる気あんですか!?』ネチネチ
『童子オォナァ!純利益多過ぎですね!やる気あんですか!?』ネチネチネチネチ
コイツは頭がオカシイのではないか?言うことがもはや常軌を逸している。どうやら
廃棄金額が少ないために純利益が多い!、と言いたいらしい。しかし利益を出さずに
どうやって事業を継続していくというのか?ここまで執拗に廃棄金額にこだわるのはやはり噂通り、加盟店の廃棄金額が多い方が本部の利益増につながる、そんな計算式が隠されているのかもしれない。しかし生殺与奪の権を本部に握られている我々弱小オーナーが下手にクレームなど付けたら、この男はどんな報復を企てるか分かったものではない。相手は正気を失ったサイコと、加盟店など搾取の対象としか見ていないブラック本部である。それでもこちらは店と従業員を守り、事業を継続していかなければならない。悩んだ末、私は棚橋の上司である小田マネージャーに相談してみることにした。小田マネは棚橋とは違い、まだ社会的常識を持ち合わせているようだ。
こちらに対する言葉遣いや態度も常識の範囲内。私は単刀直入に切り出した。
『棚橋さんのことですが…ちょっと非常識な言動が目立ちます。オーナー利益の軽視も甚だしい。純利益を出さずに我々オーナーはどうやって事業を継続していくのですか?』
黙る小田マネ。当然だ。こちらは正論を述べている。私はなおも続けた。
『すいませんが、棚橋さんとは一緒に出来ない。担当を変えてください。』と私。
重苦しい沈黙…。
小田マネは口を開いた。
『担当を変えることはできません。一店舗の要望を聞いてしまったら、他の店にも同じように対応しなければならなくなる。』
『そうですか…』
ハァー…。
予想していたとは言え、やはりそれが答えか。その日はそれで話は終わった。
まだまだ地獄は続くようだ。(つづく)