健康の維持のために最も重要なのは優れた薬や医療機器ではなく、適切な食事・運動・睡眠である。
「うつ消しごはん」は、種々の精神疾患に栄養の不足が隠されていることを伝えている。
とくにうつ病を診断する際は甲状腺機能低下症、Cusshing病などの内分泌疾患や、脳腫瘍や脳炎などの神経内科的疾患を除外することは重要とされているが、栄養失調についてはあまり注意されることはないため、病院などでは見逃されやすいのではないかと思われる。
女性のうつ・パニックは「鉄不足」が原因(p32)
鉄不足とうつ病の因果関係については以下のものが考えられる。
鉄は赤血球の酸素運搬能にかかわるため、
鉄の不足→赤血球の機能が低下→脳の神経細胞への酸素供給量が低下→不定愁訴
鉄はドパミンやセロトニンを合成する際の補因子となっているため、
鉄の不足→ドパミン・セロトニンの合成低下→精神症状
鉄欠乏性貧血についてyear noteを参考にまとめてみる。
鉄欠乏性貧血による症状:全身倦怠感・めまい・易疲労感・動悸・息切れ・収縮期雑音など
診断項目:Hb≦12 g/dL、血清鉄40 μg/dL以下、TIBC↑、UIBC↑、フェリチン↓
フェリチンは貯蔵鉄の指標となる。
とくに、フェリチン↓、血清鉄の順に低下が見られる。回復の際は逆の順に上昇が見られる。(YN内科外科 G-24,G-25)
血清鉄は手持ちのお金、フェリチンは銀行預金のようなものである。
お金を使ったらまず銀行からお金(フェリチン)をおろし、預金がなくなれば手持ちのお金(血清鉄)を使う。
鉄を多く含む食材は肉、魚、レバー、穀類、緑黄色野菜などがあるが、特に食肉に含まれるヘム鉄が吸収率が良い。
本書では鉄不足についてサプリメントによる補給を促しているが、症状が軽い場合やサプリメントに抵抗感がある場合は食品からの摂取で試してみるのが良いだろう。