漢検1級は全般的に画数が多いですが、逆に極端に少ないものもあります。今回は画数が2~3画しかないものについて紹介してみます。
乂:ガイ
字源は鋏の形で、「刈」に通じます。手でばってんを作っているようにも見えます。現在は顔文字として活躍しています→('ω'乂)<NO (乂'ω'*)反対!
【意味】
やすらかであること。
【語彙】
乂安:世の中が平和におさまっている状態。
几:キ
几帳面の几です。中国の「いくつ」をあらわす几(ji3)は幾の簡体字で、別の字であると思われます。
【意味】
つくえの意味。
【語彙】
几帳(きちょう):つくえ。
匕:ヒ
片仮名の「ヒ」に似ています。丫がYに見えるのに似ています。匕首で覚えています。
【意味】
さじ、あいくちのこと。
【語彙】
匕首:あいくち。
匚:ホウ
箱の形を表しています。部首としての名前は「はこがまえ」で、匡・匠・匪・匱などの部首です。
【意味】
箱のこと。
于:ウ
中国語では「~より」の意味として使います。
【意味】
ここに。
【語彙】
于(ああ):おどろきや嘆きを表す
于役(ウエキ):使者として他国へ行くこと。
兀:コツ
円周率ではありません。「こつこつ努力する」の「こつこつ」は「兀兀」とかきます。
【意味】たかく突き出たさま。一生懸命努力すること。
兀兀(コツコツ):こつこつがんばること。
孑:ケツ
孑孓(jie2jue2)は中国語でボウフラの意味を表します。乒乓球と雰囲気が似ている気がします。
【意味】
孤立しているさま。
【語彙】
孑孑(ケツケツ):孤立しているさま。
孑孑(ぼうふら):ぼうふら。
尸:シ・しかばね・かたしろ
漢字の部品としてなじみ深いですが、単体としてはほとんど使っているのを見たことがありませんが、顔文字で少しだけ使われています→(___ ___ ;)尸マイリマシタ・・・ フレーヾ(゚ー゚ゞ)( 尸ー゚)尸_フレー
顔文字では旗を表すときに用いられているようです。
【意味】
しかばね。
【語彙】
尸位素餐(しいそさん):高い地位にいるのに仕事をせずに報酬だけもらっていること。
尸禄(シロク):官職につき、仕事をせずに報酬だけもらうこと。
已:イ・すでに
古文の時間に「已然形」としてこの漢字を知りました。「己」でも「巳」でもないと教わったのを覚えています。
幺:ヨウ・ちいさい
糸と似ていますが、字源は実際に関係があり、糸の端の形から小さいという意味を表すようです。
【意味】
ちいさい。
【語彙】
幺麼(ヨウマ):ちいさいこと
弋:ヨク・いぐるみ
驚くべきことに現在でも使用例があり、艦これで遊弋(ユウヨク)という形で使われているとのこと。式の部首であり、部首の名前としては「しきがまえ」と呼ぶ。しきがまえの漢字は式・弐・弑などがあります。
【意味】
いぐるみ。とる。
【語彙】
弋(いぐるみ):狩猟道具。網が備え付けた矢で、獲物に当たると絡まって動きを封じることが出来る。
丫:ア・あげまき
漢検漢字辞典の最初を飾る字です。辞書を持っている人は本文最初のページを見てください。Yに似ていますが違います。昔の子供の髪型です。
【意味】
あげまき。
【語彙】
丫頭(アトウ):あげまき。大昔の子供の髪型。
漢字の部首となっているもの、アルファベットに見えるもの、顔文字に使われているものなど、なかなか個性的な漢字たちだったと思います。漢検1級レベルですが、何しろ画数が少ないので、比較的簡単に覚えられるのではないでしょうか。
【参考文献】
漢検漢字辞典第二版, 公益財団法人 日本漢字能力検定協会
プログレッシブ中国語辞典第二版, 武信 彰 編, 小学館