固定電話は、高齢者にとってスマホとは違った、外界とのつながりのための大切なツール。


例の高齢者狙いの危ない電話もかかって来る可能性もあるが、


段々と世間とのつながりが薄れ孤立感を覚える高齢者にとって、


たまの生身の人間の「もしもし」の声が聞こえる固定電話があることだけでも安心感にもつながる、緊急時の命綱でもある。



ところが、かかってくるのは大半は用もないしょうもない、電話がほとんど。


これには、本当に嫌になってしまう。


とにかくこちらが望むとのぞまざるにかかわらず


時を選ばず、突然とかかってくる。


不眠症の私に、通話確認の夜中のワン切り電話だけは勘弁して下さい。



ほとんどは、あれ買えこれ買えの勧誘電話なのたが、


普段あまり付き合いはないが、そろそろいい歳かげんの親戚も多いので、


生き死にの緊急の電話連絡である場合もあるので、無碍に無視もできず一応受話器を取ることになる。



「要らなくなった靴はありませんか」

人の履き古した靴なんて誰が欲しい


「着物買い取ります」

今時、着物なんて浴衣一枚持っていない


「葬儀屋の互助会に入りませんか」

縁起でもない!入るか!


こんな馬鹿みたいな話に本気で対応したら大変だ。


どうせ、その先にあるのは、必要もない物を買わせ、なんとかお金を引きだそうとするビジネスの話でしかない。


履き古した靴をいくらで買い取るのか知らないが、ちょっと考えたらおかしい話。


それを、「えっ、買ってくれるの」と、話に乗ってくるややボケの年寄りがターゲットなのだろう。


見ず知らずの業者から、こうちょくちょく電話がかかって来るのは


もう、出回っているだろう高齢者リスト一覧に我が家は君臨していて、それからは逃れられないということだろうか。



先日


歯磨き中に電話が鳴ったので、急いで口をすすぎ電話に出た。


電話での勧誘に断れ慣れているだるのだろうか、


中年の女性の慇懃無礼なものの言い方で、


髪の毛の事なのだろうか、薄毛とか頭皮とかの話しをし始めた。


女も年齢を重ねれば、髪の毛が薄くなり、頭が禿げてくることぐらい現在進行中、もう経験済だ。


その、ケアに何かを買えと言うことだろう。


この年になればもう、禿も白髪も怖いものはない。



その時、電話に出るため急いでいたので、まだ口の中が歯磨き粉がベトベトしていて気持が悪かった。


なんたが、イライラしてきた。


結局「いりません」と、断るに決まっているのに、


私は何をもたもた相手の話しを聞いているのだろうと、自分にも腹がたってきた。


「あのね、わたし、とうし(投資)の話には興味はあるけど結構です」


と、何の脈絡もない話しをして断ろうとした。


ところが、相手は俄然セールストークに拍車がかかってきた。


昔、あまりしつこい電話の時は、黙らせる決定打の言葉


「ごめんなさい、今葬式中だから」


当然相手は、「失礼しました」とすんなり電話をすぐ切ってくれる。


ただ昨今は、家でお通夜も葬式もあったもんしゃないから、この手は使えなくなったが。




空気の読めない女性は、


ボケがかった婆さんと思ったか、髪の毛と頭皮の関係のなんちゃらの話しを熱心に進行していく。


もう、我慢がならない。


高齢者は、ただてさえ感情を司る前頭葉がヤラれている。


段々と怒りぽくはなっていっている。


糞爺、糞婆と言われるゆえんだ。


「もう、ババァなんだからそんな事どうでもいい!」


と、半ば叫びながら電話を切った。




で、後味の悪い電話の切り方をしたなあ、と思った瞬間、アッとなった。


あれ、もしかして


私が言った「投資には興味がある」を、


「頭皮には興味がある」と聞き違いしたのではないか。


そりゃ、興味があると言われたと思えば、待ってましたとセールストーク頑張りますよね。



因みに、私は本当に投資というか、毎日の経済の動向には興味をもっているし、


暇つぶしに株式だけは毎日チェックするのが楽しみでもある。


爺ちゃん譲りの博打打ちの血も少し流れているのか、


某証券会社で、程々儲けさせてもらったり、痛い目にも合わさせてもらったりしている。


スカスカの前歯が「とうし」を「とうひ」と勘違いさせてしまったか。


悪かった。