本『年上の女性』をはじめから読む → scene1


玄関で泣き崩れた。

彼を傷付けてしまった。

でも、飛び込めない。

私は自分が傷付くのを恐れてその代わりに彼を傷付けた。

起こらないかも知れない最悪な未来を想像して・・。


「ごめんなさい」



何度も呟く。

私が若ければ・・

何も考えずに、歩太くんの胸に飛び込めた。

恋愛をして、一緒に歳を取りたかった。

あと少し・・あと5個若ければ、いや、たった2つでいい。


若ければ。

その2つが今は大きい。



恋愛するだけなら、いいかもしれない。

でも、私の今の年齢で、

恋愛だけの恋は出来ない。

確かな恋でないと。



やはり駄目だ。

一時の感情に惑わされたら。

私は私の未来が大切だ。

そして彼の未来も。

私なんかじゃ申し訳ない。

彼は若くて、とても魅力的だ。

女の子から人気がありそうだ。

若くない私なんて・・負い目を感じる。



どれ程時間が経っただろう。

彼はまだいるのだろうか。

気になる。

でも、駄目。

未来がない人だ。

出なくて良い。



何度も携帯電話を気にする。

眠れない夜を過ごした。


次へ[*]Next scene