本『年上の女性』をはじめから読む → scene1


次の日はコンビニの前を通って帰る。

彼はいない。

逢いたい思いを抑えて、これで良いのだと納得する。

家に帰り、お風呂に入る。

時間が長く感じた。

彼は待っているのだろうか。



ぼんやり、見ているテレビでは、

年の差有名芸能人カップルの、破局を伝えている。

コメンテーターが得意の辛口コメントを言う。

「女性が年上だと、難しいんですよ。

だって、10個年上でしょ?

最初は良いけど、そのうちやっぱりね。

男は大体、若い方が好きですよ」



狙ったように、流れる番組。

私へのコメントか?


きっと、これは何かのお告げ。

だから止めなさい、と言っている。


そうやって、
なんでも意味付けしてしまう。




携帯電話の着信音が鳴る。

鼓動が高鳴る。

が、すぐに、母親からだとわかる。

「もしもし」

「あぁ、ようちゃん?元気?

いやね、良い話あるのよ。

お見合い話があるのよ。

一回帰ってきてお見合いしなさい」

「うん・・」

気のない返事をする。

「いい会社勤めて、家ももう持ってるってよ~

あなた、楽出来るわよ~。

年齢はね、ようちゃんより5つくらい上で丁度良いでしょ~」

「何がいいの?・・私その人好きじゃないよ」

「会ってないからよ。会ってみたら?良い話よ~」

「好きにならないよ」

「会わなきゃわからんでしょ~?

あのね~愛だの恋だのだけじゃ、

食べていけないの。

結婚して、苦労するのは、あなたよ」



愛だの恋だのだけじゃ駄目。

現実を見なきゃ。

「じゃあ、話し進めるよ」


心が揺れる。


「ようちゃんの写真送ってちょうだい」


心が揺れる。


「かあさん・・私、その人、好きじゃない」

「だから、一回会って・・」

「私が、好きなのは、その人じゃない」

「ようちゃん・・?」

外は、雨が降ってきた。



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