本『年上の女性』をはじめから読む → scene1


「かあさん、雨降ってきた」

「あ・・あ、そう・・」

哀しくなってきた。

「雨、降ってきた・・」

「ようちゃん。誰か良い人いるの?」

「良い人って、何?・・私にとっての良い人って何?」

「好きな人いるの?」

好きな人いるの?

好きな人いるの?



好きな人いる。








雨の中、私は思いっきり走る。

傘を差すが、その機能はほとんど果たしていない。

せっかく、お風呂に入ったのに、汗と雨でぐちゃぐちゃ。

こんなに走ったのは、いつぐらいぶりだろう・・・。



彼は、まだいるのだろうか。

私を待ってくれているだろうか。


お願い、

間に合って。


私を待ってくれているだろうか。

私を待ってくれて・・・




いた。




そう、



彼は、いつも私を待っていてくれる。





「歩太くん」

その言葉に振り向いた彼は、やっぱり優しく、そして愛おし気に見てる。

私は、俯く。

会いたかった。


次へ[*]Next scene