本『年上の女性』をはじめから読む → scene1


いつも通り、彼のいるレジに行く。

彼は笑顔で私を迎える。

もう私は、顔を背けることもなく、

笑顔で返すことができるようになっていた。



「こんばんは」


「こんばんは」


「あの・・浦西和也て誰ですか?」



一瞬わからなかった。

浦西和也・・

浦西和也・・

初めて出会った時に、

私が間違えて出した名刺の名前だ。



「あぁ・・あれは・・」

言葉が詰まる。

なんでもない人だ。

合コンで知り合った時に貰った名刺。

もう連絡は取ってない。

顔ももう思い出せない。

名刺は・・取ってある。

捨てれないでいた。

なんとなく。



合コンに行ってるなんて、

知られたくなかった。

「仕事関係の人」

私は言った。

「そうですか」

笑顔になる彼。

恥ずかしくて、顔を下げた。



「何の仕事してるんですか?」

「普通の・・会社員」

「そーなんですか」

「何されてるんですか?普段」

「自分、大学生です」

「何年生?」

「ニ年です」



ニ年?!

「じゃあ・・20歳とか?」

「はい」

レジが済む。

後ろに並ぶ客が気になって、

「じゃあ」とだけ言って

彼に背を向ける。


「ありがとうございました!」


上機嫌な彼の声が聞こえた。

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