『年上の女性』をはじめから読む → scene1あれから店には行かなくなった。
気になるのを抑えて、
店の中もみない。
行かなくなって2週間が過ぎた頃、
彼は店の前にいた。
いつも着てる店のシャツじゃない。
デニムにTシャツ。
私服を着ると、いつもより若く見える。
年相応というのか。
私を見付けた彼は笑顔になる。
胸がキュンとなるのがわかった。
「こんばんは」
彼は笑顔で言う。
「こんばんは」
私は余裕の笑顔を作り応える。
「お疲れ様です」
彼はそう言って、
言葉が途切れた。
沈黙に焦って、私が言う
「今日はバイトでないんですか?」
顔を見ずに彼は「はい」とだけ答えた。
彼は真剣な顔をしていた。
少し苦しげな顔にも見える。
可哀相に思えてきて、
なぜか私がリードしなきゃと思った。
「そうなんだ。今日は学校?」
彼は少し頷く。
相変わらず顔を見ない。
「そう、私服、初めて見た。
いつもコンビニのシャツ着てるしね」
早口で私が話す。
なぜここにいるの?
聞けないでいた。
私は今日は仕事忙しかった・・。
年齢を聞かれたら嫌で、言えない。
避ける話題があるせいで、
何を話していいか、
わからなくなっていく。
「最近、全然こないですね」
目線をあげた彼が早口で言う。
一瞬何を言ってるのかわからず、
「え?」と答える。
「最近全然」
もう一度言おうとする彼の言葉の途中で理解し、
「あぁ・・そう・・ですね」と答えた。
彼が何か話すかと思ったが、
また沈黙になったため、
「なんか・・買物がなくて」
私が続けた。
彼は答えるかわりに再び目線を伏せた。
沈黙に居心地が悪く、私も目線を伏せる。
[*]Next scene