本『年上の女性』をはじめから読む → scene1

待ち合わせの時間に10分以上早く着いてしまった・・

にも関わらず、彼は既に待っている。


いつもそう・・


彼は私より、いつも先に待っていてくれる。

一体いつから待ってくれているんだろう・・。



「いつも来るの早いね。普段、いつもそんな感じ?」

「あ~いや・・あ~どうだろ・・そんな・・でも・・ないかな」

歯切れが悪い彼。

「今日は何時に着いたの?」

少し考えて、

「昨日から」

そう言って、悪戯っぽく笑う。

「そんなわけないじゃん」

私も笑う。

なんだかくすぐったい。

「友達とかと待ち合わせして、

俺、普段、そんな早く来ないですよ」

「え?」

「あ、電車もうすぐ出る、行きましょう、洋子さん」

「あぁ・・うん・・」



二人で走って電車に乗り込んだ。

乗り込む瞬間、彼は私の背中に軽く手を添え、先に乗せてくれた。

その背中が少し熱を帯びる。



手を繋いでくれて良かったのにな。

そう思ってしまった。




「間に合って良かったですね」

「うん」

空いてる席に並んで座る。

あまり揺れない電車が、なんだかじれったい。


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