『年上の女性』をはじめから読む → scene1
遊園地に着いた彼は、ジェットコースターを見てキラキラした瞳で言う。
「俺、絶叫系大好きなんですよ!」
「あ・・そうなんだ」
「洋子さんは?」
キラキラした瞳がこちらに注がれる。
子供みたい・・・言おうとして止める。
子供なのかな・・20歳って・・
「私は・・」嫌いと言おうとして止める。
嫌いなんて言葉、なんだか彼に使いたくない。
「苦手かな・・」
「そうなんですか。・・じゃあ何乗ろうかな?・・何乗りますか?」
「えっと・・何・・が、いいかな・・」
私が乗れるものは、小さな子が乗れるようなものばかり。
「じゃああれは?」
「・・・無理」
「じゃああれは?」
「・・・ダメ」
彼が指差すものは、ことごとくダメ。
彼が次に指差したものは、コーヒーカップだった。
「あれならいける・・」
廻るコーヒーカップを見て彼は、
「久しぶりだな~コーヒーカップなんて」
と、言った。
「ごめんね」
「・・何がですか?」
「あ・・いや・・全然何も乗られなくて」
「あ、全然良いですよ、そんな」
恥ずかしくなってきた。
全然何も乗れないくせに、
「遊園地好き」なんて言っちゃって。
彼は何て思ってるだろう・・・。
「なんか、この雰囲気が好きなんだよね。
・・ほら、なんか楽しそうな雰囲気。あまり乗り物乗れないけどさ」
聞かれてもないのに、勝手に言い訳。
焦って、自分でも何言ってるか、わからない。
「うん。いいですよね」
ばれたかな?
「楽しい雰囲気が」
変に思ったかな?
コーヒーカップに乗って、彼と向かい合わせになる。
近くて、上手く顔を見れない。
動き出すコーヒーカップに、楽しみながら、
廻る速度を、私を見ながら気にしてくれてる。
コーヒーカップが止まって降りる時、彼はそっと、私の身体に寄り添う。
手を差し延べてくれれば良いのにな。
そう思ってしまった。
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