9月某日。
終電も間際の電車に乗っていた私。
もうすぐ発車しそうな時に、一人の男性が飛び乗ってきた。

紺色のスーツに、グレーのパンツ、オールバック風の髪型、茶色の革靴が素敵なヒト。
一瞬目があったような気がした。
しかし私は仕事終わりで疲れているにも関わらず、座れなかったため電車の壁にもたれて自分が降りる駅を待っていた。

最寄り駅につき、さっと電車を降り、改札を通り抜けた。やや急ぎ足で家に向かおうとした時、後ろから
「すみません」
と声がした。

突然のことでふいうちをくらった私はビクッとして後ろを振り向いた。
そこには先ほどの電車の素敵な男が立っていた。
「電車で見かけて、あんまり素敵だったものだから、つい声をかけてしまいました。怪しい者ではありません、良かったらこれ…」
と男は名刺を差し出した。

「気がむいたら、連絡ください。気持ち悪かったら棄ててください」
そう言って、また改札をくぐってホームに降りていった。

名刺の裏には携帯のアドレスと電話番号が書いてあった。
名刺には鹿○建設、○○事務所と書いてある。
私はそれを見て、はっと息を飲んだ。

元々私は大阪生まれではない。
兵庫県の片田舎で生まれ育った。
誰も知らないようなマイナーな市。
しかし彼からもらった名刺の○○には、私の懐かしい地元の名前があった。

なぜ、大阪に私の地元のヒトが?
電車は走ってはいるが、第三セクターとなり、本数も少ない。兵庫県とはいえ軽く二時間はかかる。

しかも終電間際。
あの人、帰れたの?
途中下車してこんなところで降りたけど。。

不安が頭をよぎった。



ーー次回に続く。

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