まさか、船の上で年越しではないだろうと思っていたが、意外に早く2時間ほどで九州へ着き海を越えた。

大晦日で乗船客も多くなんだか騒がしい。そんな中私はひたすら宿を探すために、片っ端から電話をした。

九州のどこへ行くかと言えば、湯布院だ。
そんな人気のスポットあいてるわけがないだろう。と突っ込みをいれたくなるほどだった。

案の定、もちろんどこも空いている訳がない。良いホテルから電話をかけるがきまって断られる。断れるだけならまだいいが、ホテル側にあきれられる始末だ。

「今日なんですが部屋はどこかあいてますか?」と私が聞くと、

「ええ!?今日ですか?申し訳ありませんが、満室でございます。年末なので他も難しいかと」

もう、そちらに向かってフェリーに乗り込んだなんてさすがに言えない。。。


根気よく電話をかけ続け、しまいには

「今日なんですがお部屋あいてるわけないですよね??」

と気づけばかなり後ろ向きな予約の仕方をしていた私。

あきらめたら面白いことに、なかなか良い旅館でちょうど良くキャンセルがでたので、今日は無理だが明日は予約できるというではないか。

やったー!ツイテル!!ヒロシ聞いて!とれたよ!

ヒロシをみるとのんきに大いびきをかいて寝ているではないか。

どうしようもない。

怒る気にもなれないくらい気持ちよくねむっている。

でも、これで安心という訳ではない。肝心の今日の宿はまだ取れてないのだから。

せめてあんまりのボロ宿だけは勘弁してほしいとおもっていたが、そんなこと言ってはられなくなった。
また再び続け電話をし、こんなボロ宿絶対空いてるはずとないとおもうような宿も、予約でいっぱいという。

恐るべし大晦日。

こうやって今夜泊まれるというあやしげなペンションを一つ確保することができた。

ひとまず任務終了。

こうやって九州にたどり着き、まっすぐにペンションへ向かった。


私は計画を立ててないと何かそわそわして、たいていの場合は計画をたてて実行する。それがA型の性分なのか、計画は私の人生においてかかせない。

そんな反面、計画を立てている途中でだんだん考えすぎて頭がこんがらがってくる。そんなときは、どうでもよくなり、最後の最後で一番肝心な頃、計画を投げ出すという恐ろしいことを時たまする。



いっぽうヒロシは、勘が鋭く、大雑把なところもあるが、基本はいつも現実的かつ計画的で、先を見越して物事を考えたりする。

そんなヒロシも、お得意の突然のひらめき、なづけて「未計画旅行」を実施したことがあった。

それはそれは寒い師走。

ヒロシはお正月にどこかへ旅行に行きたいと言い出した。
それも12月31日になって言い出したのだ。

いったい予約も何もしていないのに、この年末にどこが空いているというのだ。
今年最後のヒロシの突然のひらめきも、年の暮れのせいなのかなんとなく
無謀で歳末の雰囲気をおおいにかもしだしている。

とりあえず車を走らせ、どこへ行くのかと思えば四国からフェリーで海を渡って九州へ行としているではないか。

運転手はヒロシのため抵抗は無駄である。

黙って従った私はせめて最低限の情報は必要だと訴え、途中の本屋でおろしてもらい、今から向かおうとする先のガイドブックを購入した。

フェリー乗り場に着き、タイミングよく船もでていた。予約なしではあったが年末のせいか、臨時便もありすぐ乗ることができた。
どうせならここで満員で、ギブアップでもよかったが。。。


そうして、船に乗り込んだヒロシと私。すでに12月31日の日が暮れた後、年明けまであと5時間であった。


ふと、「結婚指輪はしてないの?」と現地の人に聞かれた。
「はい??」

ちんぷんかんぷんである。

ヒロシも私も左手の薬指にはリングをしていなかった。

実はヒロシ、今回の旅行は「ハネムーンだから盛大によろしく!」と前もってこっそり旅行会社に話していたのだ。

そう、私たちの旅行はれっきとしたハネムーンということになっていたのだ。


特別理由がある訳ではないが、いつもの調子で楽しい旅になればいいとおもっただけだろう。
まあ、私もそんなヒロシの意見に大賛成だが、この突飛押しもないアイディアに南の国のナンシーもびっくりだ。

おかげで盛大に祝福されて、結婚もしてないのにハネムーン疑似体験ができるのだから。

アジア人は私たち以外は誰もいないそのホテル。

そのあともホテルではハネムーンの日本人が来たということで、こじんまりしたホテルではあっというまに噂になっていた。

通りすがる誰もが、祝福をしてくれ、夜のバーでは酔っぱらいがシャンパンまでごちそうしてくれる。

強引に飲まされちょっぴりいい迷惑だ。


こういったちょっとした“うそ”?いや“工夫”が人生をちょっぴり楽しくさせるのはいうまでもない。

こうしてこの旅行は、私のうまれて初めての新婚旅行ということに今のところなっている。