そうして怖い思いをしながら、根気よくヒロシに連れていかれては1シーズンに3回くらいスキーをしていたので、2年目にはパラレル(板を平行にしてすべること)完成。

もちろんヒロシと行く際は、必ずプライベートレッスンが待っているので、ヒロシとすべることは1回のスキー旅行で2時間がいいところだ。

ヒロシは楽しんでいたが、私は上達するまでに試練が待っていた。楽しいと思って滑れる緩やかな斜面もあるが、それと同時に、上達するには怖いけど挑戦しなければいけない壁が必ずつきものだ。

練習、回数をこなさなければなんでもそうだがすぐに上手になるわけではない。

私はこれを「恐怖のスキー合宿」とよんでいた。


でも最初は、いやいやながらもなぜついていっていたかというと、真っ白な銀世界の風景に心奪われ、北海道のおいしいお食事、にごり湯の秘湯と魅力いっぱいのオプションつきだったからだ。



ある日、ヒロシがとんでもないツアーに私と一緒にいくということで申し込んでいた。それは、いくつかのスキー場をまたいでいる山をスキーで越えていくという、スキー中級者以上が参加するようなコースだ。



天気のいい日は、いくつかのスキー場を滑ってまたいでいくため、いろんな景色が楽しめエキサイティングなコースであるのだが、まだシーズン2回目の私にはかなり難関コースだ。そこに無理やりヒロシは大丈夫!ということで私を連れて行った。


あいにくその日は天気が悪く、朝から吹雪いていた。

中止になると喜んだのはつかの間。

ヒロシは何事もなくそのままゴンドラへ乗りツアーガイドと頂上で合流した。


そのガイドはまん丸の形した度の厚い眼鏡をかけた愛想のいいちいさなじいさんだ。定年以降、このようにスキーガイドとして活躍してるらしい。

私が初心者でうまく滑れないことを伝えたところ、「ゆっくりあなたのペースで滑るから無理しないで大丈夫だよ。」とやさしい言葉をかけてくれた。ヒロシは隣で「いやいや、おもいっきりスパルタでやってあげてください」と人事だと思ってか、とんでもないことを言っている。


かわいい子供をがけから突き落とすトラの親みたいなことをするヒロシだ。

しかしどうみても、私が途中で滑り降りられないような斜面に遭遇しても、このじいさんガイドあまり頼りになりそうもない。


そんなこんなでじいさんガイドとヒロシと私の3人で吹雪の中、仲良く滑り始めた。