るNetflixで評判になっているクライム・サスペンスであり、世界的な評価を得ている「地面師たち」を観た。
芸能界にファンもいて「一気見間違いなし」と発言しているのをYouTubeで見て、そんなことはわかっている!と思った。しかし、一気見するまとまった時間を確保するのは困難なのだ。
実際に起きた土地売買の詐欺事件をベースにしながら、超がつく素晴らしい脚本とキャスティング、そして演出を実現した。原作は新庄耕さんの小説。監督は大根仁さん。大根さんは「エルピス」「モテキ」などヒットしたドラマや映画のメガホンをとっている。
それにしても、曲者を揃えたものだ。地面師グループの謎多きリーダー、ハリソン山中に豊川悦司さん、その弟子、辻本拓海に綾野剛さん、元司法書士でありながら大阪弁の剛腕、後藤義雄にピエール瀧さん、なりすましの手配師、稲葉麗子に小池栄子さん、情報屋で汚れ仕事を引き受けるシャブ中毒の竹下に北村一輝さん、その手下に芸人のアントニーさん、退職前の刑事、下村辰夫にリリー・フランキーさん、下村がイヤイヤながら指導役を引き受けた上昇志向の強い刑事、倉持玲に池田エライザさん。
綾野剛さん、ピエール瀧さん、小池栄子さん、北村一輝さんの凄みと存在感は果てしない。リリー・フランキーさんの頼りなさと刑事魂が同居する難しい演技、池田エライザさんの台詞回しや芝居の安定感は今後が益々楽しみだ。
それにしても、トヨエツ演じるハリソン山中のサイコっぷりは画面のこちらにいても怖い。この詐欺事件の裏にいて、自ら障害を取り除く非情さは、トヨエツにしか出せない味である。
この作品を本物のエンターテイメントに仕上げたのは、辻本の父親が家族と家に火を放った悲しいエピソードとハリソンの狂気の演出だったと思う。
怖いもの見たさという心理があるとしたら、そして悲しい過去に縛られてしまうこと、人を騙して不幸にすることに躊躇せずに犯罪に巻き込んで逃げていくのも、被害者たちとその家族も、みんな同じ人間だと言うことを考えると空恐ろしい。
日本のドラマ制作、映画制作の一部は、配信作品という限定的な観客を確保するメディア戦術で、息を吹き返したとも言える。地上波でこれを流すことは不可能に近い。否、スポンサーの存在、コンプライアンスの問題で、不可能だろう。
そうだ。このドラマの音楽を担当しているのは、石野卓球さんであることを付け加えておく。ピエール瀧さんは「サンクチュアリ」含めて、偉大な役者であり、地上波ではない役者の生き方を示してくれることを期待する。
本当に面白いものを堪能した。お知らせとお勧めまで。