昨夜は一人のレジデントの表情が、
ダイニングルームで無茶苦茶険しかった。
心配して彼のテーブルに歩みより、
視線を合わすために膝をついた。
「どうしました?」
尋ねるやいなや怒り爆発
「見てみなさい、この食事。何ですか、このフィッシュは?自分は、こんなもの頼んでいない。食べられたもんじゃない。みんなで騙しやがって!」
説明する間もなく席を立って部屋に帰ってしまった
もちろん彼が頼んだメニューで、
ただ覚えていないだけなのだ。
すぐに彼の後を追いかけても逆効果と思い、
暫くしてからスナックを持参して、
彼の部屋を訪ねた。
暗闇の中で、
彼はリクライニングチェアに座り呆然としていた。
入室した自分に気付くと、
今度はひたすら謝ってきた。
「さっきは、非常に申し訳ない。ダイニングにいた時、急に気分が悪くなり、自分の発言がハッキリ覚えてないんだ。失礼な態度だったことは覚えてるんだけど。急に30代の頃の苦い記憶、妻が他界して、辛くて孤独な苦労した時期が甦ってしまって、そしたら何が何だか分からなくなっちゃったんだよ。」
50年以上前の記憶.....
ずっと払拭出来ない苦しい過去の記憶
何を食事で注文したかは忘れても(Short-term memory)、
遠い記憶は鮮明なのだ。
それがネガティブなことだと、
聴いていて尚更切なくなる