魂込めても、理屈で勝っても、それでも負けは負けなのです。 | 戦ふ最前線DX Powered by Ameba

魂込めても、理屈で勝っても、それでも負けは負けなのです。

 

 

本日、議会最終日。

請願の採択に当たって、反対討論に立ちました。

私なりに理論武装したつもりだったし、論戦としては完勝できたのではないかと思いますが、議場というのは『討論会』ではなく『多数決の場』でありますから、ものの見事に負けました。

圧倒的大差で完敗です。

日教組さんの提出する請願は、基本的にいつも賛成多数となるのが四日市市議会です。

組織に勝てない自分が情けないです。

 

ま、せっかくなので興味がある人は読んで下さい。

本日の討論原稿のコピーです。

本当はもっと色々と書きたい事(詳しいデータや事例)があったのですが、持ち時間10分に合わせて作成された原稿です。

 

一生懸命書いたんだけどなぁ・・

 

あ、因みに、私は日教組憎しで反対している訳ではありません。

本日も日教組さんの請願が4本あったのですが、その内の2本には賛成していますし、1本は私が紹介議員になっているほどです。

私はどんな団体であろうと、その『看板』だけで判断することはありません。

私の信念に照らして『正論だ』と思えば、共産党さんにも協力するし、日教組さんにも協力します。

大切なのは中身ですからね。

 

本文は長くなるので先に要約を書きます。

 

出された請願は

『義務教育費国庫負担制度の存続とさらなる充実を求める意見書の提出について』、並びに、請願第二号『教職員定数改善計画の策定実施と教育予算拡充を求める意見書の提出について』というもの。

難しいタイトルなので要約すると

1.義務教育費国庫負担制度を改めて下さい

2.少人数学級と教職員定数を増やして下さい

という内容です。

義務教育費国庫負担制度』って何? と思われるかと思います。

要するに教職員給与の1/3を国が負担しますよ・・という制度です。

以前は1/2負担だったのですが、平成17年に1/3に減額され、その代わり浮いたお金が一般財源として地方自治体に支給されるようになりました。

要するに、『地方が独自の判断で教育予算を割り振りなさい』と。

これは知事会や市長会、我々全国市議会議長会が要望した結果です。

しかし、地方が独自色を出すと全国の教職員に『格差』が生じます。日教組さんとしては、これは許しがたいことで、

賃金闘争の中でもこれを問題視しています。

・・で、様々な理由を付してこれに反対する請願を全国の地方議会に提出している訳です。

 

もう一つの少人数学級と教員の増加は、そのままの意味です。

 

私としては、以下の趣旨で反対しました。

 

【国庫負担金】

1.国庫負担を増やすことと子供たちの成長には因果関係がない。

2.我々地方議会が望んだ制度であり、これに反対することは言行不一致だ。

3.地方分権に逆行する

4.賃金闘争に議会が加担してはいけない

 

【少人数学級】

1.少人数学級の成果が数字として表れていない。

2.他国との比較の仕方がおかしい(データの恣意的抽出)

 

・・・と。

 

ま、そんな内容です。

要約でも長くなりましたね。

失礼しました。

 

以下、討論原稿です(読むと10分近く掛かります)。

※句読点が無茶苦茶です。これは『音読』しやすいように、自分なりの呼吸の位置や『間』を取るために作った原稿ですのでご容赦下さい。

※こちらのPDF版の方が読み易いかも知れません。

https://doc.co/AsAqfY

 

それでは、請願第一号『義務教育費、国庫負担制度の存続と、さらなる充実を求める、意見書の提出について』、並びに、請願第二号『教職員、定数改善計画の策定、実施と、教育予算拡充を求める、意見書の提出について』・・に対し、反対の立場から討論を行います。

まず初めに請願第一号『義務教育費、国庫負担制度』についてであります。

この制度は、日本国憲法第26条に基づき、国が必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上を図ること目的とされています

制度の中では、具体的に三つの国庫負担が明記されており、

一つは、教職員給与の1/3を国が負担すること。

二つ目は、教室又は体育館の不足を補うための、新設や増築に対し、国がその1/2を負担すること。

そして三つめは、教科書を無償で配布すること・・とされています。

さて、この請願の趣旨は、『存続とさらなる充実、国の責務として必要な財源を確保されるよう』・・とされていますが、この当該経費は、県や我々地方議会の要望の末、すでに地方交付金として都道府県に支給されております。

どういうことか説明するために、ここで少し、小泉内閣の下で行われた、『三位一体の改革』について説明させて頂きます。

『三位一体の改革』の中心であった国庫負担金の中でも、特に金額の大きい、この『義務教育費、国庫負担制度』、については、平成17年当時、中央、教育審議会、いわゆる中教審ですが・・この中で賛否両論の議論がなされました。

その議論の中で、地方六団体、つまり知事会や市長会、私達が所属する全国市議会議長会は、国庫負担金を全額、一般財源化し、地方交付金にすべきだ、と、主張したのであります。

結果としては我々地方議会の主張がある程度反映されて、それまで国が1/2を負担していた教職員給与を、1/3に減額し、そこで浮いたお金を、一般財源の地方交付金として、都道府県に支給するようになった、・・というのが、当時の審議の『あらまし』であります。 

つまり、私達地方議員や行政が、地方自治体の自由裁量の幅を広げ、より独自性の高い教育に取り組むために、一丸となって勝ち取ったのが、この制度なのであります。にも拘わらず、必要な財源は国が担保するべきだ、などという議論は、本末転倒であり、あの時、我々地方の関係者は、これからは地方がそれを担保するんだ、そのために財源を地方に移譲すべきだ、と、こう言って財源移譲を勝ち取った訳ですから、これを元に戻す等と言うことは、地方分権への逆行であり、地方の独自性を自ら放棄することにつながります。又、自分で言ったことを自分で否定するような、そのような愚行を行ったのでは、地方政治の信用は失墜するのであります。

請願の中では、教材費や、教員の旅費が、三重県では国の基準を下回っている・・との指摘があります。しかし、これは県の問題であり、制度の問題では決してありません。三重県の自由裁量権の中で、『国の基準を下回る予算処置』を行っているに過ぎず、国の基準を下回ったからと言って、子供たちに何か不都合があるのかといえば、そういうデータは一切なく、例えば国の基準を下回った地域で『学力が低い』とか、『いじめ』や『不登校』が多いとか、そういうデータは全くありません。

子供たちに不都合があるというならば、是非、その根拠をお示し頂きたいものであります。又、100歩譲って、不都合があったとしても、それは県に言うべきことであって、国に対して言うべきことではございません。

又、国庫負担率100%のイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、シンガポール等を引き合いに出し、『世界の常識だ』という方もいらっしゃいますが、それらの国と比較しても、日本より学力上位なのはシンガポールだけで、あとの国は日本より低い位置にありますし、少年犯罪の発生率は日本が一番低いとされております。

つまり子供たちの成長と、国庫負担率には、何の因果関係もないのであります。賛成される方には、是非とも国庫負担率の増加が、何故、子供たちの利益につながるのか、データを基にお示し頂きたいと思います。

さらに、この国庫負担制度に対し、日教組さんは、『公立学校教職員賃金をめぐる日教組集会』を開催し、『各都道府県は国庫負担金総額の範囲内で賃金・定数の 裁量が与えられ格差をつけられるようになったことから現行水準を維持するとりくみがますます重要である』と述べており、単なる賃金闘争の一環として、この制度に着目しているという事実もある、という事を付け加えておきます。

話題を変えます。

次に、請願第二号『教職員、定数改善計画の、策定実施と、教育予算拡充を求める、意見書の提出について』であります。

この請願の趣旨は、少人数学級の推進や、複雑化する教育プログラムに対応するため、教職員の定数を増やし、そのための予算を拡充することを求めています。

しかしそもそも、少人数学級が優れているとは、誰が決めたのでしょうか?

どこかに、それを示すデータがあるのでしょうか?

少人数学級にしたら『いじめ』が減るのでしょうか?

『不登校』が減るのでしょうか?

『心豊か』になるのでしょうか?

『学力』が上がるのでしょうか?

そんなデータはどこにもありません。

これらはただ何となく『良さそうだ』という、推測に過ぎないのであります。

実際、財務省は文科省に対し、莫大な予算を伴うこの少人数学級に対し、『そろそろやめたらどうか?』と打診をしているという現実があります。

現在、財務省のホームページには以下のような記載があります。

少人数学級が学力に与える効果については、主として海外において様々な実証研究が行われているが、現在まで、その効果を統計的に有意に示した研究結果はない。我が国の研究においても、少人数学級の教育効果について明確に有意な結果を示すものはなく、こうした結果を踏まえれば、少人数学級に決して過大な期待はできないと考えられる。また、費用対効果の面からすれば、学級規模縮小だけに議論と予算を費やすことは効率的であるとは考えられない。
また、少人数学級に限らず、例えば習熟度別指導、ティーム・ティーチング、アクティブ・ラーニングなど文部科学省が志向する教育の方向性についても、教職員数を増加させることとその効果の因果関係に関する実証研究が求められる

・・と、このように記載されています。

つまり、複雑化し過ぎた現代の教育プログラムには、その優位性を認める根拠が希薄であり、その延長線上にある教職員の増加には問題があると、こう述べているのであります。

それに対し、推進派の根拠になっているのは『現場から声が上がっている』とか、『大きな成果があった』等という、全く数字の裏付けのないものばかりでありまして、文部科学省や中教審ですら、『現場の教員には多忙感があるため、きめ細かい指導のためには少人数学級が必要である』等という、全く根拠のない論点で反論し、もう何年も実証研究を続けているのに、未だ結果が出せず、裏付けとなるデータを出せないでいるのであります。

さて、請願文書の中では、日本の1クラス当たりの生徒数は、『OECD加盟国の平均よりも多い』、そしてGDPに占める教育費の割合が『OECDの平均よりも低い』、との指摘がなされておりますが、そもそも教育費はエンゲル係数と同じで、貧しい国ほどその比率が高くなり、又、日本は他国に比べ子供の比率が少ないのですから、対GDP比率が低くなるのは当然の事であります。それらの国の学校規模は100人から200人、一学年一学級という学校も多く、平均すれば、日本で言う山間部の分校レベルの規模でしかありません。つまり、そもそも最初から学校建設の発想が日本とは全く違うのです。そういう土壌の違う国のデータと比較することに意味があるのでしょうか?むしろ着目すべきは、日本の生徒一人当たりに対する公財政支出がOECDの平均を上回っていること、特にG5の中では最高水準に達しているという事実であります。又、教員一人当たりの生徒数はG5の平均値にあり、担任外教員の数はG5の中で、ずば抜けたトップ水準であることも事実です。

都合の悪い数字を隠し、都合の良い数字だけを取り出した議論はあってはならないのであります。

これらの数字から見えてくる事実は、単純明快であり、すなわち、日本は他国よりも対GDP比率は少ないけれど、子供一人当たりに対しては、より多くのお金を使っているし、教員の数も多い。しかし、根拠のない、複雑化し過ぎたプログラムや設備にお金がかかり過ぎているため、一クラス当たりの生徒数が多くなってしまっている。

これが現実なのです。むしろ改善すべきは、財務省の言うように、そういう根拠のないプログラムやシステムなのではないでしょうか?

今後もこれらの推進を求めるのであれば、それなりの数字的根拠が必要です。推進を求めるのであれば、『どの会議でこう決まった』とか『誰それがこう言った』等という社会的要因ではなく、『効果がある』という、その根拠となる客観的データをお示し頂きたいと思います。 

財政難の続く昨今、国家運営の中において、根拠に乏しい予算要求、システムの改悪を、我々地方議員が求めても良いのでしょうか? 

自らの言葉に反し、地方分権に逆行しても良いのでしょうか?

単なる賃金闘争に、議会が加担しても良いのでしょうか?

どうか、多くの皆様のご賛同を賜りますようお願いを申し上げ、同時に、根拠のあるデータを用いた、有意義な討論となることを期待して、私の反対討論を終わります。

 

 

以上、音読9分38秒~45秒

 

 

 

ここまで読んでくれたあなた。

本当に感謝します。

ご意見とか頂ければ超嬉しいです(笑)

 

動画も宜しければどうぞ。