ビデオレター『災害と議会』
『全国若手市議の会』の役員研修会で、福島県富岡町にお邪魔してきました。
富岡町は福島第一原発の影響を受け、現在も多くの町民が町外に避難しています。
町民数=約1万6千人
県内避難者数=約1万1千人
県外避難者数=約4千300人
話によると、避難直後の無人になった街には多くの泥棒も入ったようです。
あの日、震災で家屋が壊れたりした人達は、学校の体育館に避難しました。
-ちょうど午前中に卒業式を終えたばかりの体育館-
しかし、この体育館が避難所として機能したのは1晩だけでした。
翌朝、原発がヤバイということで、国から全町避難命令が出たため、
皆、自力で脱出したそうです。
その時、議会はどういう役割を果たしていたのか?
当たり前ですが、議員も『市民/町民』の一人です。
家族を守る義務があるし、自分の命も守りたいと思うのも人情です。
ですから議員にも色々あって、
地域の中で率先して活動した人、
必死で家族を守った人、
全てを捨てて議員として職責を果たそうとした人・・
様々だったようです。
で、議会としては議員と連絡が取れず、
どの議員がどこに避難したのかも分からず、
又、議員が避難先から役場に連絡したくても、
議会事務局がどこにあるのか、電話番号も分からず、
・・・
事務局も議員も互いに所在が分からずに、
全員と連絡が取れたのは1ケ月後だったそうです。
3月という季節は『予算議会』の真っ最中でもあり、
結局、議会は不成立のまま超法規的処置として専決処分で乗り切ったとのこと。
議会の承認がないまま、行政が物事を進めることにはリスクがあります。
めんどくさい手続きではあるけれど、
『議会の承認』とは『有権者の同意』という意味があり、
議会の承認なく専決処分でことを進めると、
何かトラブルが起こった時に、
全て行政職員や首長の責任になってしまいます。
言い方は悪いですが、
『議会の承認』とは、『責任の共有』でもあるのです。
そう考えると、災害時に議会が開けない状況というのは行政にとっても不幸です。
心置きなく行政が様々な対処を打てる環境を作り出すことが、
非常時の議会の役割の一つなのだと思います。
四日市市議会では、例えば
正副議長が行方不明の時どうなるのか?
議員の過半数が揃わない時はどうか?
役所を退去した際の『第二議会事務局』はどこになるのか?
連絡先はどこになるのか?
・・・・等々、不測の事態に対処する規約がありません。
被災に備える・・という意味では、大きな課題だと思います。
今回の視察、大変勉強になりました。
今も多くの被災者が苦しんでいます。
(※熊本の被災者や東北震災等全て含む)
全ての人が再び『平穏な日常』を取り戻すことができますように。
ビデオで所感を述べてみました。
https://www.youtube.com/watch?v=BQQ2FY2H1So
あの時の時刻で時は停止していました。