横溝正史翻訳コレクション | 田治見要蔵学

田治見要蔵学

金田一耕助学に対抗

ルーツオブ八つ墓シリーズ:その2

扶桑社文庫、2006.12

ウィップル「鍾乳洞殺人事件」、ヒューム「二輪馬車の秘密」の二編収録。

解説によれば後者のメルボルン貧民街に関する、割と詳細な原文の描写を「バーク街というのは日本で言えば浅草と本所の貧民窟を一緒にしたような所である」で片付けてるんだとか。訳し方からも横溝カラーというものがほの見えるかもです。

鍾乳洞殺人事件の方は「八つ墓」にも大きな影響を与えた作品とされてます。あの作品には辰っちんが以前に読んだ「鍾乳洞を舞台にした、探偵小説」を懐かしむ場面もあるんだそうで(まったく覚えてないですが)。横溝の作中人物が横溝の訳したミステリーを読んでるってのはちょっと面白いですね。ちなみに「新青年」誌に掲載されたのが1935年の事で、思いっきり戦前です。

鍾乳洞を見つけ出し、観光名所として売り出そうともくろむ好漢が一人。ライバルや家族や使用人、通りすがり、地質学者、女優、新聞記者などが混じってなんだかんだとやってるうちに、鍾乳石で人が次々殺されていきます。そして鍾乳洞の中にはなんと一つ目の怪人が!!

とそんな感じで、確かにのちの横溝に繋りうるものが多々見受けられます。