闇に駆ける猟銃 | 田治見要蔵学

田治見要蔵学

金田一耕助学に対抗

松本清張/中公文庫『ミステリーの系譜』所収。
1967年8月~68年4月「週刊読売」連載
文庫は75年2月初版、2005年に23刷というロングラン、ほぼ100ページの中編です。ほかに「肉鍋を食う女」「「二人の真犯人」。

さて「闇に駆ける猟銃」ですが、かなり細かく資料が引用されていますね。西加茂村は「和名抄」に出ている加茂郷であるとか、江戸時代には強訴谷といわれたとか、豆知識も豊富。内外の類似の事件もいろいろ引っ張り出してます。もと新聞記者だけあって、資料の整理能力は非常に高い感じ。かったるい裁判所の報告書なんかも、なんとか読ませようと努力してますね。

事件を前・中・後と分け後と分けるなら、事件中の描写が多い気がします。事件前の描写も「今殺されてるこいつは、以前睦雄とこういう因縁があった」というふうな書かれ方で。資料が多いので序盤はさすがにすらすらとは読めませんが、よくまとまっています。よほどの津山事件マニアでなければ、この本を読んどけばまず充分でしょう。