陸上自衛隊が28年ぶりの大演習 中国有事を想定した多国間演習の急増で、中国は危機感を募らせる
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《ニュース》
中国有事への対応強化を念頭に、陸上自衛隊が15日から11月下旬にかけて、全ての部隊が参加する10万人規模の大演習を行います。
《詳細》
陸上自衛隊の全部隊が参加する演習の実施は、1993年以来28年ぶり。北海道や東北、四国の部隊が、鹿児島県を含む九州の演習場などに展開し、南西諸島の防衛強化を図ります。
陸上幕僚監部によると、演習には陸上自衛隊の車両約2万台、航空機約120機が参加予定。民間のフェリーやトラック、鉄道も活用し、海上自衛隊、航空自衛隊、在日米陸軍の支援を得て実施します。
岸防衛相は10日の記者会見で、「島嶼(とうしょ)部への攻撃などに対応するためには、迅速かつ大規模な展開を可能とする輸送力が鍵だ」と演習の意義を説明しました。
《どう見るか》
中国有事が発生した際、全国各地に駐屯する部隊が、素早く南へ移動し、臨戦態勢をとれるかが重要です。岸大臣が指摘するように、輸送力が鍵となります。しかし、自衛隊の装備をみると、輸送力に難があり、本来、民間の船舶などをもっと活用して、南西諸島の住民避難も行える体制を整えなければなりません。今回の演習は、そうした課題を浮き彫りにさせる上で、有益な取り組みになるでしょう。
今年、中国を想定した演習が世界的に急増しています。
米海軍は今夏、冷戦後最大の演習となる「ラージスケール演習」を行い、中国有事を想定した展開能力を試しました。8月には、海上自衛隊と米海軍が、イギリス空母クイーン・エリザベスとともに大規模な訓練を実施。さらにインドは、ベトナム、フィリピン、シンガポール、インドネシア各国海軍との演習のほか、海上自衛隊、オーストラリア海軍、米海軍が参加する共同訓練「マラバール2021」にも参加しました。
これらは一部であり、実際はもっと多くの演習が行われています。ニュースを見ていると、各国がそれぞれの思惑をもってバラバラに行っているように見えますが、いずれも「中国有事」を想定しているのは明らかです。統合能力が世界最高レベルである米軍との演習を通して、各国が中国有事をめぐって、具体的にどう動くかをシミュレーションしています。
中国としては、米軍を中心とした有志連合がどんどん一体化していくことに危機感を募らせているでしょう。日本は、各国との統合能力を高め、有事に即応する体制を構築しなければなりません。