香港国家安全法――ナチス化する中国から香港の自由を守れ | 幸福実現党 森よしひろのブログ

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香港国家安全法――ナチス化する中国から香港の自由を守れ【前編】

https://youtu.be/LrWt8Mr8FjU

幸福実現党党首 釈量子


◆香港国家安全法で、「香港の自由」は死んだ
6月30日、中国の全人代常務委員会で「香港国家安全維持法」が全会一致で可決・施行されました。

翌7月1日には早くも「国家安全法」違反で、10人が逮捕、違法集会などの容疑でも約360人が逮捕されています。

香港の代表的な活動家である黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏は所属する民主派団体「デモシスト」からの離脱を表明し、すでに香港から脱出した活動家もいます。

「香港の自由」は死んだに等しい状況です。

香港国家安全法の主な内容は、(1)国家分裂、(2)政権転覆、(3)テロ活動、(4)外国勢力との結託を処罰し、最高刑は終身刑です。

4つを犯罪行為としているのですが、いずれも定義があいまいで、「香港独立」旗の所持程度の非暴力的な手段でも逮捕されています。

香港の企業や外国人、香港外の犯罪にも適用され、香港在住の日本人や企業も対象に含まれます。

中国が国家安全維持公署を設置し、中国政府の出先機関として、「秘密警察」のような役割を担うと報道されています。

捜査では、通信傍受や盗聴が可能となり、捜査を名目に、監視・尾行・盗聴などやりたい放題です。

学校、メディア、インターネットなどの監督・管理も強化され、中国に批判的な書き込みや報道がなくなる恐れがあります。

また、国家安全の罪で有罪判決を受けた者は、選挙に立候補できません。これは9月に行われる「香港立法会選挙」に向けた布石と言われています。

香港国家安全維持法は香港の他の法律よりも優先され、個人の自由や人権よりも、中国共産党が理想とする社会の安全を優先することになります。

◆香港の今後
この法律施行によって、香港は、どのようになるのでしょうか。

人や企業が、他の国へ移転する流れが強くなるのは確実で、すでに台湾や、旧宗主国のイギリスも、移民受け入れを表明しています。

香港に拠点を置く外国企業なども、香港脱出を検討しています。

1992年にアメリカ議会で成立した「米国―香港政策法」で、「中国製品に課している関税を香港には適用しない」といった、優遇措置がとられてきました。

中国は、香港を経由すれば関税がかからないので、製品をまず香港に持ち込み、そして香港から世界各地に再輸出することで、アメリカなどの中国に対する関税を回避することができたのです。

しかし、今回、アメリカが「香港人権民主主義法」などを制定し、当局者への制裁、香港の優遇措置が見直されることになり、「特別な地位」が失われます。

中国が利用してきた抜け道がなくなるということです。

また金融面では、中国は香港の金融市場を利用して外国資金を呼び込んでいました。

例えば、2004年に中国最大のインターネット企業であるテンセント、2018年にはスマホメーカーのシャオミ、2019年にはアリババが香港市場に上場しました。

現在、香港市場に上場している中国関連企業は約420社あり、その時価総額は、1兆5千億米ドルを超え、香港市場全体の3分の1以上を占めています。

今後、香港の金融機関がシンガポールなどに本社機能を移転する動きが加速し、香港の金融センターの機能が弱まれば、中国企業の資金調達は難しくなるでしょう。

さらに、アメリカは今後の制裁案として、香港ドルと米ドルの交換を停止することも検討しています。

このように、中国は「国家安全維持法」によって、香港の貿易・物流センター、金融センターとしての機能を失おうとしています。

コロナショックと相まって、中国経済に与える影響は甚大です。

後編では、中国の「香港国家安全維持法」について、また別の角度から見て参ります。

 

◆ナチズムの特徴を持つ中国
前編では、香港国家安全維持法によって香港がどうなるかを見て参りました。後編では、同法を別の角度から追及して参ります。

中国の「香港国家安全維持法」の恐ろしさは、第二次大戦のナチスドイツが持っていた「全体主義国家」の特徴が表れている点です。

全体主義国家とは、「国家のために人民・国民がある」と考える政治体制のことで、国家のため、全体のために「個人の自由」をすりつぶしていくような国のことです。

この「全体主義の起源」を解き明かしたのが、ハンナ・アレントという女性政治哲学者です。

実はこのアレントこそ、幸福実現党の創立者の大川隆法総裁の「政治思想の源流」です。

『大川隆法思想の源流 ハンナ・アレントと自由の創設』に、総裁の東大法学部当時の論文もそのまま収められています。

一般的に、宗教というと全体主義のように見えるのですが、その真逆で、全体主義に対抗する「自由の創設」を政治の理想と考えています。

アレントは、全体主義の特徴として、3点挙げています。

◆全体主義の3つの特徴
まず一点目は、「秘密警察」です。

全体主義は、秘密警察あるいは特別警察のようなものがあり、国民を常に監視していることです。

中国ではインターネット上の監視、AIや監視カメラを利用した監視社会が出来ています。

今回の法律でも、「国家安全維持公署」を設置し、香港の監視を強めようとしています。

二点目は「強制収容所」の存在です。

政権を批判したら、逮捕・監禁して、物言わせない仕組みです。

ウイグルの収容所では100万人、あるいは300万人以上とも言われるイスラム教徒が信仰を理由に収容されています。

三点目は、「粛清」あるいは「虐殺」です。

時の政権に都合の悪い人たちは、十分な裁判手続きもないままに、抹殺していく。これも、チベットや内モンゴル、ウイグルで起きているものです。

香港でも、行方不明者が多数出ています。このように全体主義を見抜くことが可能だということです。

昨年の香港デモの際には、「China(中国)」と「Nazi(ナチ)」を組み合わせた造語「Chinazi(チャイナチ)」というフレーズが使われていました。

実際に、中国はナチズムと同じ特徴を持っています。香港は今、中国の全体主義に飲み込まれようとしているのです。

◆チャイナチから香港の自由を守る
今後、中国は香港の繁栄を失い、経済的ダメージを受けるととともに、今後ますます国際的に孤立していくことは確実です。

アメリカは「香港人権民主主義法案」などを制定し、当局者への制裁、優遇措置の廃止などで、香港の人々の自由を守ろうとしています。

また、日本やドイツ、フランスなどの27か国は声明で、中国を香港の「一国二制度」が保障する高度な自治と権利、自由を害するものだと非難しました。

日本はさらに、延期になっている習近平国家主席の国賓待遇での来日も中止すべきだし、日本の産業界に対しても、政府は国内回帰の路線を促すべきだと思います。

最後に、今年4月に逮捕された香港民主主義の父と呼ばれる李住銘マーティン・リー氏とお会いした時、次のように語っておられました。

「どんなに自分の無力さを感じても、神は全能です。神は未来がどうなるかをご存知で、私たちを導いている。何も心配することはないと思っている。」

欧米では「経済よりも、また政治体制よりも、神や信仰心はその上にあるものだ」という価値観があります。

神になり代わろうとする中国の指導者が「野心の塊」だと見抜き、世界は人間の尊厳をかけて、力の支配に立ち向かうべきだと思います。

「自由・民主・信仰」という価値観を基盤とした政治を目指すこと、神は自由化、民主化を願っておられる、それこそが神の意思であるということを信じることが未来を拓くことにつながるのではないでしょうか。