コロナ禍で深刻化か?虐待防止法改正でも高まる虐待リスク
幸福実現党党首 釈量子
◆「休校」「外出自粛」で高まる虐待リスク
中国発のコロナの感染拡大を防ぐ対策として、学校が休校となり、
狭い家に閉じこもり、経済活動も止まり、先が見えない恐怖や不安
それに伴い、家庭の中で虐待リスクが高まっていることが問題とな
虐待やDV防止の活動をしているNPO法人などが警鐘を鳴らして
今回は、コロナ対策で深刻化する可能性が心配されている「児童虐
◆児童虐待の4つの形態 ~(1)身体的虐待~
まず、「虐待とは何か」といわれると、あまり知られていないのが
「児童虐待防止法」の第二条に、「児童虐待の定義」として、「身
例えば、身体的虐待について、条文には「児童の身体に外傷が生じ
赤ちゃんを激しく揺さぶることで起きるとされる「硬膜下血腫(こ
乳幼児の頭を暴力的に揺さぶる事で現れる一連の症状を「乳幼児揺
同時に、たばこの火を押し付けるなども虐待です。
◆児童虐待の4つの形態 ~(2)性的虐待~
つぎに「性的虐待」ですが、被害にあう年齢は、平均9歳ごろから
性的虐待の加害者の35%は実父で、続いて養(継)父、再婚した
これは女児のケースで、男児の報告もあり、県によっては半数が男
性的虐待をした親が、子供に対して「秘密を守れ」「言ったら殺す
児童相談所においても、この性的虐待には大変厳しく対処している
◆児童虐待の4つの形態 ~(3)ネグレクト(育児放棄)~
次に「ネグレクト」については、英語で「無視」という意味ですが
具体的には、子どもを遺棄、置き去りにしたり、また子どもにとっ
病気になっても必要な医療を受けさせなかったり、学校に行かせな
この場合、親の側が、精神疾患を抱えていることも多くて、お母さ
また、祖父母や保護者の恋人などの同居人や自宅に出入りする第三
◆児童虐待の4つの形態 ~(4)心理的虐待~
そして、最後に「心理的虐待」については、「ことばによる脅かし
意外なところでは、「夫婦喧嘩を子供に見せる」「面前DV」は、
夫婦喧嘩になって、警察を呼ぶようなケースも多いのですが、警察
そして今は、警察がかかわった案件すべてを、児童相談所に通告す
また、「子どもの心を傷つけることを繰り返し言う」とか、「他の
◆法制化される「しつけによる体罰禁止」
平成30年度の全国児童相談所における児童虐待相談対応件数は、
ちょうど2020年4月1日から「改正児童虐待防止法」が施行さ
体罰禁止が法制化された背景には、度重なる虐待死事件で逮捕され
例えば、今年公判が開かれた栗原未亜(みあちゃんの虐待死事件が
今後、しつけによる体罰が禁止されることで、行政が介入しやすく
◆なぜ体罰がいけないのか?
では、「なぜ体罰がいけないのか」ということですが、このあたり
体罰を受けた子供は、問題行動を起こすことが多いことが指摘され
親子関係が悪化し、周りの人を傷つけて反社会的行動を起こしやす
そして自らが大人になって子供を持つと「虐待をする親」になると
医学的に言っても、子供時代に体罰を受けると、感情コントロール
繊細な子どもの傷ついた思いは、伏流水のように流れて、大人にな
多くの若者と接する仕事を通して、痛感させられました。
◆法律だけでは限界がある児童虐待の抑制
「虐待は子供に対する犯罪」なんだということを、社会で共有する
しかし、「してはいけない」と法律で定めたとしても、根本的な考
特に、4月から体罰は禁止となりましたが、厚生労働省の指針を出
必要なのは、困った時悩んだ時に「どうするか?」という智慧を広
あるいは親にそうした智慧を共有する場が必要だと思います。
例えば、子育ての支援策として、行政を中心とした「育児相談」や
◆宗教教育が誇る「ゴールデン・ルール」
今こそ「子育ての智慧」や「夫婦関係の構築の仕方」など、「家庭
力を入れないといけないと言われている道徳や倫理といった科目も
厚生労働省の「体罰禁止の指針」の中には、「注意しても聞かない
「自分が人からされたくないことを他人になすなかれ。」。「自分
こういった宗教的な教えを学ぶことで、自分の頭で考えて、善悪を
また、人の痛みを想像して、共感していける人間に成長していくた
◆仏教が誇る「アンガーマネジメント」の智慧
体罰を振るったり、暴力に及ぶ根底に「怒り」、いわゆる「アンガ
例えば、「心の三毒」として「貪・瞋・痴(とん・じん・ち)」を
学校の勉強が出来ることが頭がいいとは言っておらず、そうした知
その中でも「瞋(じん)」が、瞬間湯沸かし器のようにカーッと怒
そして、この怒りの炎を吹き消した「涅槃の境地」、つまり心が平
虐待された子どもの心の傷を癒すとともに、虐待してしまう側の親
私たち一人ひとりは完璧な人間ではありません。
ですから、宗教教育をはじめ、自分の心を照らし、力強く生きてい