8月28日、幸福実現党政務調査会エネルギー部会として内閣府原子力委員会宛てに「原子力委員会によるプルトニウム保有量削減方針の撤回を求める要望書」を提出致しました。
今回出された新たな指針は、日本のエネルギー政策に甚大な影響が生じる恐れがあるため、内閣府原子力委員会には同指針を撤回するよう求めます。
平成30 年8 月28 日
内閣府原子力委員会 委員長 岡 芳明 殿
幸福実現党政務調査会エネルギー部会
原子力委員会によるプルトニウム保有量削減方針の撤回を求める要望書
原子力委員会は、7 月31 日付で「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」(以下、「改定文書」といいます。)を決定し、日本がプルトニウム保有量を減少させる方針を初めて明記しました。
改定文書が示す措置によれば、「再処理等の計画の認可に当たっては、六ヶ所再処理工場、MOX 燃料加工工場及びプルサーマルの稼働状況に応じて、プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ再処理が実施されるよう認可を行う」とされています。これは換言すれば、プルサーマルが着実に実施されない場合には再処理が実施できないことを意味しますが、使用済み核燃料の貯蔵場所の不足により原子力発電
所の運転が制限される可能性があることなどから、日本のエネルギー政策への影響は甚大です。
今回の決定の背景には、中国等による日本のプルトニウム保有量増加への批判、北朝鮮の非核化を求める米朝首脳会談の影響など、いわゆる“国際社会”への配慮があるとも言われています。しかし、民生用プルトニウムだけを見ても、英国、フランス、ロシアなどは保有量を増やしており、再処理工場が今後稼働する中国でも増加が見込まれますが、各国とも長期的な計画に基づいて消費する予定です。
さらに、これらの国は軍事用プルトニウムも保有していますが、軍事用プルトニウムの保有量は正確に報告されているかどうかも疑わしく、日本だけがプルトニウム保有量の増加を問題視され削減を迫られることは、極めて不公平であると言わざるを得ません。
そもそも、日本が米国由来の使用済み核燃料を再処理しプルトニウムを分離することは、日米原子力協定で合意されており、国際法上も何ら問題はありません。しかるに、日本が毅然とした外交交渉を忌避し、安易に“国際社会”に配慮して貴重なエネルギー資源であるプルトニウムの利用の選択肢を手放してしまえば、自虐史観に基づく謝罪外交にも似て、国益の喪失と国民負担の増大をもたらします。
エネルギー資源に乏しい日本にとって、核燃料サイクルの重要性は極めて大きく、プルトニウム利用の自由は絶対に守らなければなりません。今回、日本の原子力利用に関する政策の一翼を担う原子力委員会が、改定文書においてプルトニウム保有量の削減方針を示したことは、日本の長期的なエネルギー安全保障を崩壊に向かわせるものであり、到底受け入れることができません。
よって、我が党政務調査会エネルギー部会として、以下の対応を原子力委員会に強く求めるものです。
一、改定文書(平成30 年7 月31 日原子力委員会決定)を撤回し、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」(平成15 年8 月5 日原子力委員会決定)の立場を維持すること。
一、日本のプルトニウム保有量の削減については、拙速を避け、一定期間の増加傾向を殊更に問題視した「場当たり的」な政策を講じないこと。日本の国益を第一として、プルトニウムの長期的な有効利用を図ること。
一、プルトニウムの利用に係る日本の国際法上の正当な権利を守るため、強力な原子力外交を展開する必要があることから、貴委員会の所掌事務に従い、外務省等関係行政機関と十分に調整し働きかけること。