(18) 卵管造影検査で両方の卵管が通過しているので卵管に異常がない 矢印 straycats

 卵管造影検査や通水検査などで分かるのは卵管が通過しているかどうかです。両方の卵管が閉塞していたら自然妊娠は不可能です。その場合は妊娠を諦めるか、体外受精に進むかを決断することになります。このように、卵管が通過していることは最低限必要なことですが、卵管が通過していてもそれで卵管が正常であるということにはなりません。卵管には次のような役目があります。

1)排卵した卵子を捕まえる。
排卵した卵子は自分から卵管に入っていくわけではありません。卵管が卵巣の方に寄ってきて卵子を捕まえるのです。ですから卵管が通過していても、癒着などで動きが悪くなっていたら上手に捕まえることができず、卵管の中で精子と卵子が出会うことができなくなります。

2)精子と卵子が受精するための良い環境の場所となる。
卵管の中に水が溜まったり、子宮内膜症などから出てくるような炎症性の物質が存在すると良くない環境になり、上手く受精することができません。

3)受精卵が細胞分裂して育っていく環境となる。
体外受精で使用する「培養器」と同じ役目です。

4)胚を子宮の中に運ぶ。
卵子には精子のようなしっぽがありませんので自分で移動することができません。受精卵を子宮の中に運んでいるのは卵管自身です。

 このように、卵管は単に通過していればよいホースの様なものではありません。妊娠にとって欠かすことのできない重要な役目をたくさん担っています。しかしこれらのことが正常かどうかを調べる検査はありません。ですから、検査で異常がない「原因不明不妊」の多くは「卵管機能障害」であろうと考えられています。では卵管機能障害が疑われる場合はどうすれば妊娠できるのでしょうか。

 精子と卵子を受精させ、受精卵を育て、そして子宮に送り届ける。卵管が行っているこれらのことは、どこかで聞いた手順ではないでしょうか。そうです、それはまさに体外受精の行っていることそのものです。つまり体外受精は人工卵管とも言うべきものなのです。

これは本当 右 卵管は単に通過していればよいというものではない。