(17) 子宮内膜症は子宮の病気である 矢印 straycats

 子宮内膜症は月経痛や不妊症になりやすい病気として有名です。子宮内膜症という名前から、この病気は「子宮の病気である」と思われがちですが、違います。子宮内膜症はどこにでもできますが、主に「卵巣の病気」であることが多いです。卵巣に嚢腫ができて子宮内膜症と診断される人が多いです。

 この嚢腫は「子宮内膜症性卵巣嚢腫」ですが、「チョコレート嚢腫」と言われることも多いです。もちろんチョコレートが入っているわけではなく、ドロドロのタール状になった内液が、溶かしたチョコレートに似ているためにそう呼ばれます。このチョコレートのような液体は、実は何と「月経血」なのです。

 月経血が卵巣に?? そうなのです。それが子宮内膜症の特異なところです。そもそも月経というものは「子宮内膜」から出てきた血液です。ではもし子宮内膜が、卵巣に在ったらどうなるでしょう? 月経の時に卵巣の子宮内膜からも出血します。しかし子宮と違って卵巣は外とつながっていないため、出ていく場所がありません。だから卵巣の中に溜まります。それがチョコレート嚢腫の正体です。

 子宮内膜は剥がれて膣から外に出てくるのですが、卵管を通って逆流した場合、腹腔内の腹膜や卵巣などに生着してしまう場合があります。つまり「子宮内膜が子宮内ではない場所にもある病気」が子宮内膜症なのです。

 子宮内膜症は卵巣や腹膜によくできると書きましたが、それ以外の場所にもできます。たとえば子宮の筋肉の中にもできるのですが、その場合「子宮筋腫」と似た状態になり「子宮腺筋症」という別の名前がつけられています。

これは本当 右 子宮内膜症は子宮内膜が子宮内ではない場所にもできてしまった病気