日本産科婦人科学会から不妊症の定義の変更について次のようなアナウンスがありました。

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不妊の定義の変更について

 平成25~26年度生殖・内分泌委員会生殖補助リスクマネージメント小委員会では、本会用語集にある「不妊(症)」の定義の中にある期間の表現に関して、変更の必要性を検討してきました。
 その結果、近年の生殖医学や不妊症治療の国際化、また日本において女性の晩婚化やキャリア形成指向により女性の妊娠する年齢が上昇する中、定義の変更することにより、女性がより早期に適切な不妊治療を受けることにつながると期待されますので、従来の「2年というのが一般的」から「1年というのが一般的」と変更するのが適当であるとの結論に達しました。

平成27年6月
日本産科婦人科学会理事長 小西郁生
日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会委員長 杉野法広
生殖補助医療リスクマネージメント小委員長 苛原 稔

不妊(症)の定義の変更に関する新旧対照表
(旧)
不妊(症)infertility, sterility
生殖年齢の男女が妊娠を希望し,ある一定期間,避妊することなく性生活を行っているにもかかわらず,妊娠の成立をみない場合を不妊という.その一定期間については1年から3年までの諸説があるが,2年というのが一般的である.一度も妊娠しない原発性不妊と,過去に妊娠,分娩した経験のある婦人がその後妊娠しない状態となった続発性不妊とがある.また,不妊の原因によって男性不妊と女性不妊と分ける場合もある.

(新)
不妊(症) infertility, (sterility)
生殖年齢の男女が妊娠を希望し,ある一定期間,避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という.その一定期間については1年というのが一般的である.なお,妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない.

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つまり今まで2年妊娠できなければ不妊症と診断するということになっていたのが、1年になったということです。ただしすでに何らかの原因により検査や治療を行っている場合は1年未満でも不妊症と言えるということです。

定義を2年から1年に引き下げた理由は、妊娠を望む女性の高年齢化によって、治療開始時期をなるべく早くするようにという意図があるからです。

体外受精によっていろいろな不妊原因で妊娠が可能となった現在、最大の不妊原因は女性の年齢であるということがますますクローズアップされてきているということでしょう。