(13) 排卵誘発ではたくさん排卵させるのがよい 矢印 straycats

 たくさん排卵すると妊娠の確率が上がります。そもそも排卵誘発の目的はそこにあります(そればかりではありませんが)。しかしたくさん排卵すると良くないこともあります。

良くないこと(1)多胎妊娠(双子以上の妊娠)

 双子が良くないことと言われると抵抗があるかもしれません。「双子ちゃんならその方が良い」そう思われるかたもいらっしゃるでしょう。しかし医学的には多胎妊娠は良くないことです(もし双子ができてしまったらがんばるしかありませんが)。双子ならまだしも、三つ子や四つ子や五つ子なんてことになったら、赤ちゃんはもちろん、お母さんの命の危険もあります。たとえ生まれても障害が残るということにもなりかねません。妊娠すればよいのではなく、健康に出産することを考えなくてはなりません。

良くないこと(2)卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

 排卵可能な卵胞がたくさん作られると、卵巣のサイズが大きくなります。大きくなった卵巣がお腹の中から圧迫する症状がでます。また大きくなった卵胞は女性ホルモンを出しますので、卵胞数が多くなりすぎろと女性ホルモンが増えすぎることになります。そうすると体内の水分バランスに異常をきたして、血管内の水分が腹腔内に移動することで、腹水が溜まることになります。するとますますお腹が圧迫され、尿は減少し、血液は濃縮されて危険な状態になります。そのような状態をOHSSといいます。こうなってしまったら、入院して点滴して腹水を尿にして排出するような治療が必要となります。(当院では重症OHSSになる人はいませんのでご安心ください)

 こういった副作用を防ぐために日本産科婦人科学会では次のようなガイドラインを示しています。一般不妊治療(タイミング指導や人工授精)では排卵誘発による排卵可能な卵胞が4個以上ある場合はキャンセルすること。

 ただし体外受精では排卵可能な卵子はすべて体外に取り出して受精させて1個だけ体内に移植するので、多胎妊娠を完全に防ぐことができますし、OHSSになりそうな場合は、移植せずに全部凍結保存しますので安全です。

 つまり排卵誘発は1個から3個までの排卵がベストであり、それ以上の場合は、避妊するか緊急体外受精に切り替えるなどの方法を取らなければなりません。

これは本当 右 タイミング治療や人工授精で4個以上排卵する場合はその周期での妊娠をあきらめて、避妊しなければならない。ただし体外受精では卵胞が多くても対応できる。