(2) グレードの良い胚盤胞の方が良くない胚盤胞よりも質が良い矢印 straycats

 胚盤胞移植をする場合に見た目の綺麗さを表すグレードを気にされる患者さんは多いです。

 移植する胚盤胞を選ぶ場合、通常はグレードの良いものから選びます。ということは、最初に移植するものが最もグレードの良いものということになります。もしそれで妊娠できなかった場合、次の移植は一回目よりもグレードの劣るものを移植するということになります。

 あるいはこういうケースもあります。一回目の移植で妊娠して出産した。残った胚盤胞は凍結保存されている。二人目の妊娠を目指す時に、凍結保存されているものを移植することになるが、それは一人目の妊娠の時に使用したものよりもグレードの劣るものということになる。

 こういうケースで患者さんはグレードのことを気にすることが多いです。

 実際グレードの高い胚盤胞の方が低いものよりも統計的に妊娠率が高いです。しかしグレードの低いものの方が実は良いものだったということも珍しくありません。グレードの高いものから順に移植していってすべて妊娠しないで、最後に残ったグレードの一番低い胚盤胞で初めて妊娠し、健康な赤ちゃんが生まれる、こういったことも珍しいことではありません。胚盤胞になっているという時点ですでにある程度良いものだと言えるので、実際に移植してみないとどれが一番良い胚盤胞かは分からないのです。

 ではなぜグレードなどというものをつけているのかと言うと、一つには、統計的にはグレードの良い方が妊娠率が高いので、それから移植するという移植の順番を決めるため。二つ目には、単なる記号みたいなものだが他にましな指標がないため。三つ目は、本当に異常な卵を排除するためです。

 この三つ目の理由が重要で、「本当に良いものはどれか」は移植してみないと分からないのですが、「本当に異常なものはどれか」ということは分かるので、そういったものを排除するために形態的評価が重要なのです。つまり排除されなかったものはどれでも、妊娠して健康な赤ちゃんになる可能性がある、ということなのです。

これは本当 右 グレードの良い胚盤胞の方が良くないものよりも統計的に妊娠率が高いが、グレードの良くない胚盤胞の方が実は良いものだったということも珍しくない。実際に移植してみないとどれが一番良い胚盤胞かは分からない。