AMHについて質問される患者さんが増えていますので、私の考えを書いておこうかと思います。AMHとは、抗ミューラー管ホルモンというもので検査会社さんのこのサイトにも詳しい説明があります。

AMHは卵巣に残っている卵子の「数」を「おおまかに」反映する検査です。卵子は毎日毎日、年齢とともにどんどんと減ってゆきます。そこで、例えば40代の高齢の患者さんのAMHを測定して、数値が低かったとしてもそれは当たり前のことです。その場合、あらかじめ予測された通りの結果であり、わざわざ検査をする価値は低いと思います。年齢によって卵子が少なくなっているので、その人には体外受精などのART(高度生殖医療)を薦めることになります。逆に数値が高かったとしたら、もう少しARTを選択せずに粘るかもしれませんが、どちらにしてもAMHは卵子の質ではなく、数の指標なのですから、年齢による質の低下を考えれば、早めのARTを薦めることになるので、この場合にも診断的価値は低いと思います。

20代や30代の場合はどうでしょう。もしAMHを測定して数値が低ければ、残り卵子が少ない可能性があり、早めのARTを薦める根拠になります。AMHの価値はまさにそこにあります。現在は一般不妊治療をしているが、なかなか妊娠しない、でもARTをためらっている患者さんに、ARTへのステップアップを薦める根拠としての価値です。

ですから、そもそも早めのARTを希望している患者さんや、現在すでにARTを行っている患者さんへの価値は少ないと考えます。AMHの数値によって、より効果的な卵巣刺激法を選択できるとする意見もありますが、否定するわけではありませんが、卵巣刺激法の選択に関しては他の要因の方が大きいので、それに関しては私はAMHの価値をそれほど重視しておりません。

AMHは月経周期のいつであっても検査ができます。保険適用はなく自費になります。「混合診療の禁止」というルールのため、保険診療の日には行うことができません。当院では外注の検査会社さんにオーダーしますので、あらかじめ検査の日を決めて、午前中に採血します。検査費用は12,000円です。ご希望の方はおたずねください。