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今日は父親の誕生日で、家族が集まってお祝い。
また今年もお祝いできて嬉しい。
父もとても嬉しそうだった。

父は能の先生をしている。

今は脚が悪いので、「舞」はできないので、
「謡」(うたうこと)だけ教えている。

謡を習うときは、先生がまず先に節を謡い、
生徒が先生を真似て謡う。

繰り返し、繰り返し、先生が「よし」とするまで。
同じ節を繰り返し練習する。

父の教え方はとても厳しくて、
私は聞いていて嫌だった。

「もっと楽しくやればいいのに」
「ちょっとくらい違くてもいいじゃない。生徒さんたちは趣味でやってるんだから!」
って思っていた。


そして父は、家でいつも謡の練習をしていて、
父の部屋から意味のわからない、低い声が聞こえるのが、
子供の頃怖くて、嫌だった。


でも。

私は今、全く同じことをしている。

インドの古い言葉を唱える「チャンティング」の練習をしている。

習い方は、「能」と全く同じ。

先生の唱える「音」を聞き、それを真似て唱えて行く。

先生が「よし」とするまで。繰り返し、繰り返し・・・。


そして一人でよく練習する。
サンスクリット語を繰り返し。唱える。
他の人が聞いたら、「何を唱えてるんだろう・・あやしい」なんて思われるかも(笑


サンスクリット語は正しく唱えないと、
意味が変わってしまうので、
何度も正しくできるまで練習する。

「ちょっとくらい違くてもいいじゃない」というわけにはいかない。


チャンティングの練習を始めて、
父がなぜ厳しく教えるのか。
よくわかるようになった。

そして、父が「能」や「言葉」や「伝統」をとても大切にしていて、
自分の学んできたことや、生徒さんを大切にしていることも、
よくわかった。


子供の頃、父のしていることがキライだったけど、

今私が同じことをしていて、

なんだか笑える。


先生にそのことを話したら、

「ルーツに戻っていってるのね」って言ってくださった。


私もこの先、厳しい先生になったりして(笑

今でもアツいか(笑


写真は、父の能の謡の本と、私のサンスクリット語のYOGAスートラの本。
本の感じまで似ている(笑