俺を「後先考えず掃除機を分解するな」と叱ったバイト○○号。
最近つけたヤツのあだ名は「餅」。
幸せなのか怠慢なのか、最近ぽっちゃり度が上がり、
正月に買った鏡餅の人形にそっくりになった。
で、餅。
その餅が4月から就活を始めるそーで、
もっとゆるいシフトを求めウチを退職する。
替わりに入ってきたのは、
年齢不詳の童顔のくせに2人の子持ちという丸々と肥えた眼鏡っこ。
自己紹介の挨拶の際、ニコニコ笑いながら
「ワタシ、1年で二十キロ太りました♪」と堂々と言う。
一年でぇ?
ニ十キロぉ??
それ、病気じゃねーの??
すると眼鏡っこは、
「産後はね、ゆっくり休みなさいって言われるんですよ。私の国では。
で、ずっとゆっくりしてました。一日7食食べて、ゆっくり休むんです。」
どうやったら一日七食も食べれるのか聞いたところ、
「朝でしょ? 昼前、昼、オヤツ、夜、寝る前とあとお腹が空いた時。」
それを1年間繰り返し、ニ十キロの増量に成功。
「もちろん今はそんなことしませんけどww でも、やっぱり寝る前にはお腹が空きます♪」
あきれ顔の俺は早速この眼鏡っこにあだ名を付けた。
ホビットと。
例のあの映画で、
平和なホビット庄で暮らすホビット達は、一日6食食べるという。
劇中、その習慣に他の種族はあきれ返るが、ウチのホビットはそれより1食多い。
自分の腹をさすり、
「もう赤ちゃんいないのにぃ、まだワタシのお腹はフカフカなの。」
と、俺に微笑む。
実に屈託ない笑顔で。
うーむ。悪い人間じゃないらしいんだが、
食に対する興味は実に貪欲で、
俺が遅い夕飯のまかないを頂いていると、
「それ、美味しそうですねぇ」と寄ってくる。
「・・・食うか?」と聞けば、
「あい♪」とやっぱり屈託のない笑顔で答え、
躊躇なく人の食べかけで二回目の夕食を取る。
無意識に自分の腹をさする癖があるようで、
人の腹にも興味津々。
「シャケモさんのお腹さわってもいい??」
と、返事も待たずに人の体を触り、
「あ、ちょっとフカフカねー♪」
と、自分の腹と触り比べる。
あー、そーだな。
最近運動してないからなって余計なお世話だ!
大体「ふかふか」ってなんだよっ!俺は羽布団かっ!!
つか、男の腹を勝手に触るんじゃないわよぉ!
セクハラだわよっ!
「うふふふ♪」
が、
仕事の覚えは早い。
多少愚鈍なトコロもあるが、
もっと機敏に動けば、かなり役に立つはずなのに。
惜しい、実に惜しい。
さてこの時期、
バイト達の入れ替わりが実に激しい。
正月の帰省を機に一度辞めるもの、
留学期間を終了し国に帰るもの。
様々な理由で、バイト達の3分の1が入れ替わる。
餅の替わりにホビットが、
ルンバの替わりにsiriが入ってきた。
ルンバとは、
先週まで働いていたバイトのあだ名で、
言ったことしかしない、
注意すれば「自分はよくやっている」と真顔で怒りだすが、
やっているのは客先に料理を運ぶだけ。
運んだら下げもせず、他のバイトと喋りに定位置の飯台に戻るという
まるでロボット掃除機のような働きっぷりに俺が送った名前だった。
色々あってあえなく退職。
一方siriとは、
大勢いるバイト達とは違う国からやってきた、来日一年未満のカタコト娘。
聞いた話じゃ、ヤツの国はカブ天国なんだってさ。
細かい日本語のニュアンスが通じないので、
大事なことは、一度iPhoneなりを通し
日本語から一度英語に訳し、英語からヤツの国の言葉に直すという2重通訳。
居酒屋勤務の経験があるのである程度のことはできるのだが、
会話ときたら、
「わったっしぃはぁ、今日、四時まで仕事するで、すぅかぁ?」
シフト表見てよ。新人さんのシフトは店長が決めたはずだし。
「わっかりましたぁ、よ。わったぁし、は、4時で休憩しますか?」
・・・。はい。してください。存分に。
はきはき働くし、いー子なんだが、
会話はこの有様だ。
どこ製のロボットだと聞きたくなるが、
せめて学習能力が付いててくれと願いを込めてsiriと名付けた。
siriと言えば、
「サンタはどこにいるか?」と聞くと、
「あなたの心の中にいます。」と答えるらしいね。
それくらい気の利いた返事ができるようになればいい。
そして今日、更なる追い討ちが。
ベテランが抜けたので、もう一人補充を頼んどいたら、
今日の俺の半休中に配属された。
その子もカタコトだという。
・・・この店どうなるんだよ。
ますます目が離せない。
つか、休めないww
ちなみに俺が最近付けられたあだ名は「先生」。
まさに俺の現状を表してるよw