登場人物
《京都日報本社》
・杉浦恭介(橋爪功)…社会部遊軍、下宿「田舎亭」住人
・橘つた子(野際陽子)…社会部デスク
・曽ケ端渚(国生さゆり)…社会部遊軍
・円谷晋作(小木茂光)…社会部遊軍長
・城戸剛史(西田健)…社会部部長
大洞浩次郎(北村総一朗)…京都府警総務部長、下宿「田舎亭」住人
良成貞子(市田ひろみ)…下宿「田舎亭」女将
竹部恵子(室井滋)…30年前の殺人事件被害者の種違いの妹
末松弥一郎(大滝秀治)…元裁判官、曽ヶ端渚のインタビューを受ける
坂田紀和(伊藤洋三郎)…烏丸署生活安全課 警部補
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元裁判官 末松弥一郎のインタビューを行った曽ヶ端渚、橘つた子が差配した
数日後、「裁判員制度の罪と罰」、渚の署名記事
関係者は皆誉めるが、唯一、杉浦が誉めない
訳を聞く渚、答える杉浦 “誤判があった、と末松は言っているが、その内容を調べたのか、お前の目先のことしか考えない取材態度が気に入らない” 慌てて末松宅へ向かおうとする渚を杉浦が止める “ちょっと待て、俺が行く”
杉浦は末松宅を訪ねる 退官後、病気のデパートのようになった、と末松 誤判の件、話しかねる 久しぶりのインタビューでつい出てしまった 末松はそれでも話し始める
殺人事件があった 被告人が身代わりになったことを見抜けず有罪にしてしまった その人は刑の執行途中に亡くなった 真犯人のその後のことが気になって仕方がない 事件現場だけお話します
杉浦は現場に向かう 山陰本線胡麻駅、廃屋、そして墓地、玉井家の墓に手を合わせる
出町商店街、漬物屋、女を見つめる男がいる
居酒屋、渚と杉浦、隣の客がうるさい 数人の初老の男たちが孫の話で盛り上がっている 杉浦は喧嘩を売る 大きな声で、“孫の話をし始めたら終わりだ” 杉浦は、娘ができちゃった婚でイラつく毎日を過ごしていた
翌朝、下宿、二日酔い、デイパックが無い 大洞の部屋を探し、職場でも探す 居酒屋にもなかった
遊軍長が慌てている デイパックの中には、遊軍長がサラ金から貰ってくるよう頼んだ多重債務者リストが入っていた 内部告発しようとする社員から入手した リストに載っている多重債務者の一人が自殺した 盗まれたリストが悪用された可能性がある 杉浦は責任を感じ、昼から下宿に帰り、布団をかぶって寝ている
杞憂だった 遺書が見つかり、持病の悪化が自殺の原因だった
渚が、ストーカーされている気がする、と言い出す デイパックに誤審の件、入っていなかったか
渚は、データベースで、事件をピックアップした この事件のようだ
新聞記事、「同居人を刺殺」伯父逮捕、殺される前に殺したと自首、南丹波在住の玉井泰郎容疑者58歳、被害者は甥の原忠明22歳 一家は、玉井の妻と原の種違いの妹の4人で暮らしていた
高校生の妹、当時18歳は、兄の素行に心を痛めていた 兄妹の母親は水商売、男をとっかえひっかえしていた
玉井に懲役6年の判決が出た後、一家を良く知る人物から妹犯人説を聞いた末松は、公判中の違和感が氷解した
その妹は、出町商店街の漬物屋の女将 竹部恵子だった
恵子に近づくために、身分を隠してコーラスサークルに入った杉浦
恵子を尾行し、恵子に声を掛ける男を目撃する 恵子は男を、“のりちゃん”、と呼ぶ 男は恵子の肩を抱いている 杉浦はその写真を撮る そこに渚が現れる デリケートな取材が渚にかき回される 渚を追い返す
恵子の家を覗く杉浦に恵子が気付き、杉浦を招き入れる 杉浦の正体を知り動揺する恵子
渚が、漬物屋で恵子の夫を取材する 渚の正体を知り落ち着かない恵子 幸い夫は何も気付いていないようだ
烏丸署で、杉浦は、恵子の肩を抱いていた男を見かける
生活安全課の警部補 坂田紀和だった
坂田が鉄パイプで襲われる 警察は事件を公表しようとしない
渚は、恵子が襲った、と橘つた子や城戸に言いふらす
杉浦は渚の尻を何発も叩く
恵子は、杉浦が現れ、渚が現れ、平穏な生活が乱されることに怯えていた 意を決した恵子は杉浦の下宿を訪れる
坂田は南丹波の同郷だった 事件が起こり、村八分になったとき、のりちゃんだけが味方だった ろくでなしでお金をせびりに来るが、お返ししようとしてきた
恵子は決着をつけようとしていた 明日、渚と二人で迎えに来て欲しい
向かった先は胡麻駅、廃屋、墓地
渚は遠慮会釈なく恵子の写真を撮る 恵子は、記者の望むことを理解していた 事件から30年、手記を書いて欲しい 今日は伯父の月命日、毎月墓参りに来る 孫は自分が命名した 兄の名から一字とった 手記を書いてきた、とノートを差し出す
杉浦は気付いていた 全て嘘だった 今日が月命日でないことも、兄の名前からとった、ということも 恵子は、新聞記者のやり方を糾弾していた 暴いて苦しめる 隠したいことを掘り起こす 何でも明らかにすればよいと言うものではない
杉浦は恵子に、“もう、誰も近づけさせません”、と約束する
杉浦は、“情報開示こそが全ての問題解決につながる”、という橘つた子を全否定する
大切なのは一人一人が良く生きて行くこと そのためには、嘘や理屈に合わぬこと、時には非合法なことも必要だ
《参考》シリーズのリスト