【園長コラム】ウーフーさんからの質問 「ケンカの時どうして大人は入らないのですか?」 | さつきやま森のようちえんのブログ

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2012年4月から大阪府池田市でオルタナティブ教育を実践している「さつきやま 森のようちえん」のブログです。日々のあれこれをつづっていきます。



こう見えてもケンカ中。
一つの網を取り合う2人・・・。


「私が一人で持ちたいの!!」

「何で。俺が一人で持つ」

この繰り返しをしている2人。

女の子は泣き始めて、それでも同じことを訴える。


そんな様子を見て、ドイツから来てくれているウーファーさんが

「手伝わないでいいんですか?」


帰ってきてからの振り返り。
どうして介入しないのかという質問を受ける。

・子どもが解決できるから

子ども同士のことを子ども同士で解決できると思いますし、できます。

・解決できなくてもいいから

【子どものケンカを詳しく分解してみていくと】

意見の対立(同じものがほしいなど) > 口げんか > 実力行使(手が出る)

 > どちらかが泣く  > お互いに譲歩点を模索 > 解決または未解決

=でも3分後には仲良く遊ぶ


【大人のケンカを詳しく分解してみると】

意見の対立 > 口げんか > いらいらしまくる > 話さなくなるか 謝る

=話がまとまらないと、ずっと冷戦状態


【国家同士のケンカ】

意見の対立 > 話し合い > 解決または未解決

=未解決の場合最悪は戦争


さて、どうですか?

大人でもすべてを話し合いで解決できないし、やってない。
国に至っては戦争まではじめてしまう。

子どもたちの最終は、仲良く遊ぶです。


次に見ていきたいのが、ケンカに善悪があるのか?

【大人の場合】

自分の言っていることが正義と言う価値感がある。
でも国や宗教が違えば正義は変わる。
善を作ると悪が生まれる。


【子どもの場合】

ただ純粋に自分の気持ちを言っているだけ。
相手が悪いでなく、ただその物などが欲しいだけ。

善がなければ、悪は生まれない。

だからその揉め事が終わればすぐに仲良く遊びだす。


そんな風に思っています。

【大人たちに言いたい】

①勝手に善悪をつけないでください。
物を取った子のお母さんのよく聞くセリフ
「何やってんの。ごめんね~。早く貸してあげなさい」


この言葉は、善悪を決めます。そして最終的には判決まで言い渡します。
子どもは本当は自分たちで解決できるし、
それを練習しているんです。
その練習を勝手に奪わないでくださいね~。

②大人の話し合いだって未解決がいっぱい

子どもだからできないんではありません。
大人だって未解決がいっぱいではありませんか。
まだ感情を素直に出している分子どもの方が達がいい。
腹の探り合いとかないですからね。

大人が出来るって思っちゃだめですよ。

③子どもにすべてをゆだねてみてください

子どもには話をする能力があります。
解決するか、しないかは別です。それは大人も同じ。

子どもたちは今まさにケンカをすることでコミュニケーショントレーニングをしています。
自分の意見を主張し、相手の話を聞いて、どうするかを考える。
大人が介入すると、その練習をできなくしますし、
介入が続けば、練習をする習慣すらなくなります。

そうなったら、そんな子どもが大きくなったら、
自分で何もできない。
自分の意見を持たない。

そんな子どもになると思いませんか?


ちなみにこんなことを言うと、
近所ではできないと言われます。

でもそれを多くの方が言われます。
本当にそんな話を相手の親としましたか?
勝手にできないと思っていませんか?

ケンカを一緒に見守れる親を探したことはありますか?

ちょっと話せばいいんですよ。


私たちが、子どものケンカに入らないのは、そんな理由から。

・未解決でいい
・コミュニケーションの練習だ

そう思って温かく見守ってください。

園長たろう