かの有名な羽生結弦は言った。
「自分を貫いていると家族に心配されたり、本当に信じている人に裏切られたりするかもしれない。
ただ、そうやって自分自身を貫くことで後悔はしない」 と。
それほどまで有名ではない森乃宮伊織は言った。
「確かに後悔を振り返れば自分自身を貫けなかったときであった」 と。
振り返れば中学校3年間、後悔の連続であった。
後悔しなかったときはなかった。
幼い頃から空手一筋だった森乃宮は思った。
――他のスポーツもやっていれば良かった。 と。
「アオのハコ」を読めばバドミントンで全国を目指したいとも思うし、
「スラムダンク」を読めばバスケをやっていればモテたかも知れないと思う。
実際、森乃宮は「球技が苦手」という盾のもとに逃げた。
その判断が間違っていたとも言えないし、間違っていなかったとも言えない。
ただ、部活だけはやっておけば良かったと思っている。
うちの中学校は部活が少なく、文化部は美術と吹奏楽しかない。
美術はもっぱら絵が描けないのでそもそも選択肢に入らないとして、
吹奏楽くらいかじっておけば良かったと思っている。
しかし、そこには事情があって、
男子部員が一人もいなかったのだ。
小さい頃ならまだ良かった。
周りの女子と一緒に一輪車で遊んでいて後ろ指を指されても痛くもかゆくもなかった。
だが、中学生になって未知の世界に男子全員敵に回して入っていく勇気は当時の森乃宮にはなかった。
結果、その判断が今の優柔不断さに繋がり、彼女らを恨めし、小説に書くまでに発展しているのだ。
輝く場を失ったダイヤモンドは光らない。
暗闇にぽつねんとおかれてもそれはただの石であって、視界には入らなくて、蹴り飛ばされてしまうもの。
日々、輝く場を求めて生きているのは言うまでも無い。
今、我々は人生の岐路に立っている。
そして、その先も。
高校で新聞を作りたいのか、はたまた惹かれた演劇に挑戦するのか。
今の自分にはわからない。
ただ、自分をねじ曲げない強さを手に入れることは変わらない。
【原稿用紙2枚作文 20字オーバーしたw】
2024/01/12 全ての受験生に「自分を貫く強さ」を