サッカーの聖地への歩きかた~後編 | 旅ログ~とある京都フミンの奇妙なおでかけ☆

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Maracana_1


なんやかんやでワールドカップまであと3ヶ月ほどになってしまいました(^o^;)☆。ブラジルを再訪したのが東日本大震災直前の2011年2月だったので、もう3年も前になってしまったのですね。


その間に日本代表もどうにか本大会出場を決め、めでたく対戦相手や試合会場も決まったという事で、ぼちぼちこのブラジル篇もまとめにかからなければいけませんね★…という訳で、マラカナンスタジアムの後編です。


前回でリオ市内から地下鉄に乗って最寄りのマラカナン駅に到着。横目にファヴェーラ(貧民街)を見ながら、歩いてマラカナンの入り口までやってきました。


Maracana Entrada_1


あいにくながらワールドカップ直前の改修工事中という事で、普通なら試合の無い日はスタジアム内の見学 ( 有料 ) なんかが出来たりするのですが、この日は一部を除いてほぼ入場が制限されておりました。


Maracana Entrada_2


そういった理由で2011年当時のスタジアム内画像はあまり無いんですが、前回訪問時の2005年に携帯電話で撮影した写メ画像はありますのでそちらをご覧ください。


maracanan entry ticket
マラカナン競技場見学券


まずはメインスタンドからのピッチの眺めです。


maracana ground


そして観客席と…


maracana seat


VIP席です。


maracana VIP seat


誰もが憧れる有名なスタジアムの割には、日本のJリーグやヨーロッパの一部強豪チームのスタジアムに比べると、設備が前時代的でショボいという印象は拭えません。


ただ元々が、今から64年前の1950年ワールドカップのメイン会場として造られたものですし、その後ブラジル経済の低迷などもあって、満足な改修が行われなかったという理由もありますので、この現状はやむを得ないのでしょう。


今回のワールドカップで決勝戦の会場として使われる事になったのを契機に、ようやくブラジルサッカー協会が重い腰を上げて改修工事に乗り出したのがこの頃なので、大会が始まる今年6月には、下記の画像のような屋根付きの近代的な会場に生まれ変わっているはずです (…たぶん)。


Maracana 2014 image
競技場内ギャラリーにある完成予想図


今回一部入場が可能だったのは、競技場の1階にあるロビーと地下にあるギャラリーだけだったのですが、ロビーの床に主にブラジルサッカーの名選手たちの足型を直接型取った床板が嵌め込んであって、地味ではありますがファンには嬉しい見所となっております。ちなみにこの箇所までは入場無料なので、旅の予算が無い人にとってはけっこうお得な穴場かもしれないです。


Garota e Tipo de pes_2


まずはこの人から。言わずと知れた「サッカーの王様」ペレの足型です。


Pele, Tipo de pe


ペレと同世代の代表選手で、1962年チリ大会の優勝の立役者。ブラジル人が愛してやまないガリンシャの足型です。


Garrincha, Tipo de pe


同じくペレと同世代の代表選手です。1958年と1962年には選手として、1970年と1994年には監督として。個人としては世界最多の4回もワールドカップを制したマリオ・ザガロの足型です。


Mario Zagallo, Tipo de pe


やはりペレと同世代の代表選手・トスタンの足型…と言いたい所ですが、なぜか足型は無くプレートが埋め込まれているだけでした。まだ存命中の人ではありますが結構な年齢のようなので、以降に述べる理由もあって早目に足型を取っておく事をブラジルサッカー協会にはお勧めしたいです。


Tostao, Tipo de pe


ペレ以前の名選手です。1938年フランス大会の得点王、レオニダス・ダ・シウヴァの足型です。


Leonidas, Tipo de pe


ペレ以降、主に1970年代に代表の中心選手として活躍したフリーキックの名手、リヴェリーノの足型です。一時期清水エスパルスの監督を務めた事でもご存知の方もおられるでしょうか。


Rivelino, Tipo de pe


1982年スペイン大会代表、所謂「黄金のカルテット」のバンマス、「白いペレ」ことジーコの足型です。
リオデジャネイロでは地元チーム・フラメンゴで長くプレーし、「ガヴェアの10番」(フラメンゴが拠点とする地区 ) といえば彼の事を指します。
現役最晩年の鹿島アントラーズでの活躍で日本では「神様」になりました。


Zico, Tipo de pe


その1982年当時の代表監督を務めた名将、テレ・サンタナの足型もありました。その後サンパウロFCを率いて1994年のトヨタカップでACミランを破って世界一に輝いた試合は、大変に印象深かったです。


Tele Santana, Tipo de pe


同じく1982年大会代表メンバーの一員、イタリアセリエA・ASローマでの活躍で知られるパウロ・ロベルト・ファルカンの足型です。1994年には日本代表監督も務めましたが、あまりパッとしませんでした。


Paulo Roberto Falcao, Tipo de pe


黄金のカルテット3人目はソクラテスの足型…と言いたいところですが、こちらも前出のトスタン同様に足型が取られないままプレートが埋め込まれています。訪問当時 ( 2011年2月 ) は存命中でしたが、帰国後の同年12月に57歳の若さで急死。足型を取る事は永遠に出来なくなりました。


Socrates, Tipo de pe


と、なぜかカルテットの4人目、鹿島アントラーズでも監督を務めたトニーニョ・セレーゾの足型が有りませんでした。
日本サッカーに関わりの深い名選手の足型が無いのは少々居心地は悪いですが、案外「黄金のカルテット」という括り自体が日本独自のものである可能性もあるので、ブラジルのサッカー関係者にすれば「へ?何か問題あるの??」とか言われるかも知れないです。


その代わり、と言っては大変おこがましいですが、ジーコの実兄であるエドゥー・アントゥネスの足型がありました。日本ではあまり有名ではありませんが、ブラジル国内では指導者として高い評価を得ているようです。


Edu Antunes, Tipo de pe


最近の選手の足型も有ります。まずは1994年ワールドカップ代表として、24年ぶりの優勝に貢献した「悪童」ロマーリオの足型です。


Romario, Tipo de pe


同じく1994年代表として活躍したベベトの足型です。リーガ・エスパニョーラ、デポルティボ・ラ・コルーニャでの活躍はあまりにも有名ですが、わずか4ヶ月だけ鹿島アントラーズに在籍した事もあります。


Bebeto, Tipo de pe


同じ1994年代表の優勝メンバー、ジーニョの足型です。チームの司令塔でありながら少々地味な印象の選手ですが、ワールドカップ後、今は亡き横浜フリューゲルスに移籍して中心メンバーとして活躍したので、知っておられる方も多いのではないでしょうか。


Zinho, Tipo de pe


あと、この人を忘れる訳にはいかないでしょう。1994年代表主将 ( 大会途中より ) 、そしてジュビロ磐田の黄金時代を支えた「闘将」ドゥンガの足型です。


Dunga, Tipo de pe


1994年の代表にも選出されていましたが、実質的な初出場は1998年フランス大会より。2002年日韓大会でブラジルを5回目の優勝に導いた「怪物」ロナウドの足型です。
何と悲しむべき事に、私がブラジル滞在中の2011年2月14日に現役引退を発表しました(T▽T;)。私がこのあと訪問するサウヴァドール市のホテルで、テレビのニュースを見ていてこの事を知りました。


Ronaldo, Tipo de pe


現役選手の足型もあります。レアル・マドリードからACミランに昨年復帰し、本田圭佑のチームメイトとなったカカの足型です。2011年当時、現役選手として足型が残されていたのはロナウドとカカの2人のみです。( ロナウドはこの写真を撮影した翌日に引退を表明。 )


Kaka, Tipo de pe


ブラジル人に限らず、サッカーの歴史に名を残す名選手の足型もあります。こちらは西ドイツ代表主将としてワールドカップ優勝、そして最後の西ドイツ代表監督としてもチームをワールドカップ優勝に導いた「皇帝」ベッケンバウアーの足型です。1970年代の旧北米リーグのニューヨーク・コスモスでは、ペレのチームメイトでもありました。


Beckenbauer, Tipo de pe


そして1966年イングランド大会決勝トーナメントで、奇跡の逆転劇を演じた元ポルトガル代表の「黒豹」エウゼビオの足型です。
東アフリカの旧ポルトガル領モザンビークの出身で、ポルトガル語が公用語である地域出身という事以外は、ブラジルとは全く接点が無いはずなのですが、サッカーの歴史に名を残す名選手であるので、意外な所で出会う事が出来て何だか嬉しくはあります。
残念ながらこの方も今年2014年1月5日に亡くなられています・°・(ノД`)・°・。


Eusebio, Tipo de pe


最後に、ブラジル滞在時は全く分からなかったのがこの「マンガ」という選手。ブラジルが早々に敗退した1966年イングランド大会の代表ゴールキーパーなのだそうですが、日本人にとっては強烈なインパクトのある名前でありながら、それ故か日本では全く知られていない選手であります。なぜかこの人も足型がありません。


Manga, Tipo de pe


ウィキペディアのポルトガル語版によると、本名はアイウトン・コヘア・ヂ・アフダ ( Haílton Corrêa de Arruda ) というそうで、1950年代から80年代の長きに渡って主にブラジルやウルグアイのクラブチームで活躍した名選手だそうで、2012年までブラジルのインテルナシオナルのスーパーバイザーを務めていたようです。この人も結構な年齢のようなので、早目の足型採取をブラジルサッカー協会にはお勧めします。


manga(Ailton Correa da Arruda)
Manga(Ailton Correa da Arruda,1937~)


ただこの足型採取の基準については、よくわからないところがありまして、例えば最近の選手でいえば、2002年大会優勝メンバーにしてもロベルト・カルロスやリヴァウド、ロナウジーニョといった選手の足型はありませんし、過去の名選手にしてもカレカやジャイルジーニョといった選手の足型もありません。どうもリオデジャネイロのクラブでプレーした経験のある選手が主に選ばれているようですが、そのあたりはよくはわかりません。


Garota e Tipo de pes_1


この展示物の最も嬉しい点は、来場者なら誰でも自由に触れても良いところです。画像のように直接手で触れたり、あるいは実際に足型の中に自分の足を入れてみたり、憧れのサッカー選手と間接的にではありますが触れ合えるというのが大変に良いと思います。
おそらく日本だったら同じように足型を取っても、直接は触れられないような展示方法を採ると思うので、このあたりがボディコンタクトを重視する欧米らしい展示のやり方だなと感じます。


Senhora e tipo de pe, Zico


と、いうわけでマラカナン・スタジアムへのアクセスと、その隠れた名所でした。改装終了後も果たして今回紹介した足型は公開されているのでしょうか?ではまた次回☆