「歩いても 歩いても」という映画を観た。




開業医の家族のお話。

水の事故で亡くなってしまった長男。
跡を継がなかった次男(失業中)が、再婚した奥さんと奥さんの連れ子を伴い、
実家に里帰りした2日間を描いていた。
どこの家庭でも、
親子のあつれきがあったり、
人に言えない悲しい事情を抱えていたりすると思うが、
それぞれのやるせない思い、家族でも分かり合えない歯痒さや、思い通りにならない人生のもどかしさみたいなものが、淡々と描かれていた。

その日は15年前に亡くなった長男の命日。
病院を継ぐはずだった長男は、溺れていた男の子を助けるために命を落としたらしいことがだんだん分かってくる。
樹木希林さん扮する母親が、
毎年命日に、助かった男の子を呼んでお線香をあげさせている理由に、心がギュッとした。




先日、石川直樹さんという写真家の本をこちらで紹介しました。
素晴らしい人だな〜、他にどんな本があるんだろうと興味津々でいろいろ調べてみたら、
若い時に南米で事故を起こしたことがあるらしく、
さらに、同乗していた女性が亡くなってしまったらしいという衝撃の事実をネットの記事で知りました。

その女性は、小山田咲子さんという方。
大学を卒業したばかり、まだ24歳の若さでした。
遠い異国で、突然命を亡くした娘を持つご両親の悲しみはいくばかりかと思い、映画の中の樹木希林さんに重なりました。


その後、小山田咲子さんのご両親によって、
彼女の書いていたブログの文章が書籍化されました。


才能ある若い2人に起こった出来事。
どう捉えて、どう理解すればいいか、
ずっとずっと頭が混乱していますが、
この本の素晴らしさは、誰かに伝えたいと思いました。

あとがきに、
ご両親と咲子さんが行った家族旅行や登山が時系列で並んで書かれています。
出身が福岡の方なので、
久住山に何度も登ってました。
また登りたかっただろうな。
何度でも登ってほしかったな。




「歩いても歩いても」の挿入歌下矢印




是枝監督は、この映画に、
なぜ「歩いても歩いても」という題名を付けたんだろう?
そう言えば、坂道や階段を歩くシーンも多かったような気がする。



「歩いても 歩いても」なんて、
いくら努力しても辿りつかない感じ。

だけど、人生ってそんなもの。


ただ、
ただ、
自分の歩幅で、
自分の速さで、
歩くしかない、
し、それでいい。

ってことかな?