皆様こんにちは。栄養を科学する抗加齢歯科医、森永宏喜です。
今年1月に出版されたJ.ブランド博士著「機能性医学入門」(アチーブメント出版)の監訳陣に加えて頂いています。他のメンバーは柳澤厚生先生、松山 淳先生、溝口 徹先生のような大家、新進気鋭の臨床家の先生方など、錚々たる面々です。
邦題は著者であるブランド先生が創始した「機能性医学」からとられていますが、原題は全く違っていて「The Disease Delusion」といいます。
直訳すれば「病気の妄想」とでもなるでしょうか。
「いったいどういう意味だろう?」と疑問に思う方も多いでしょう。
たいていの書籍では、冒頭と最後の部分に他よりもより重要な、まとめ的な内容が書かれていることが多いものですが、この作品も例外ではありません。第1章に、この疑問に対する象徴的な回答が記述されています。
19世紀末に始まった細菌学の進歩にともなう抗生物質の発見によって、それまで私たちの大きな脅威であった感染症の存在感はいったんはかなり縮小しました。しかし、それにとって代わって慢性疾患、特に生活習慣病が現代人の大きな悩みになっています。先進国では寿命の延伸には成功しているものの、それが必ずしも「長寿」を実現してはいないのです。
医学薬学の進歩はそれに対して「新薬の開発」という優れた回答を提示しましたが、それは多くの場合、症状を和らげる効果は高いものの「病気の根幹を改善する「原因療法」には至らないのが現実です。薬剤の副作用や相互作用を消すためにさらに投薬する多剤併用が「終わりのない苦しみ」を患者に強いている、と嘆いています。
しかし、1980年代からの統合医療・アンチエイジング医学の先駆者たちの業績が今や実を結んできています。加齢によって病気にかかるというのは妄想でしかなく、体内の臓器や代謝の予備力の減少が老化の本質であり、それは疾患なのだから治療や予防する術はあり、その必要性を知るためのバイオマーカーや、栄養や生活習慣を通した対策方法は出そろってきているのだと。
しかし世界の医療・健康対策は、それが実践できているとは到底言いがたく、医療者はもちろん、健康長寿に関心がある全ての人々は目覚めなければならない、「病気の妄想」は捨てるべきで、最重要な対策は「個別化」たと、この章は結んでいます。
第2章以降ではそれらを細かく解説し、最終的には自らの健康増進プログラムを作るところまでをサポートする内容となっています。
さらに日本語版のために著者が書きおろした「パンデミック時代の健康と回復力」という小文も付け加えられています(これは総監訳の柳澤厚生先生がリクエストされたものと聞いています)。
7千円の定価から購入を躊躇される方もいるでしょうが、10年後の自分や家族の健康への戦略的投資として、これほど安いものはないでしょう。具体的なエピソードが豊富で飽きることがないですから、400ページを超すボリュームに二の足を踏む必要もありません。
これは買いです。将来の健康のために。
☆アンチエイジング専門医が語る:【歯科を味方にすると長生きする!】
歯科衛生士の募集を再開!詳細は下記求人専用サイトへ
(監訳させて頂きました)
拙著6作目、最新刊
アマゾン販売はこちら
医療従事者の皆様におすすめ
「歯科から始めるアンチエイジング栄養学」 直販サイト