ジャガイモの歴史、「世界を一周した食物」「貧者のパン」 | 森下幸蔵のブログ

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ジャガイモの歴史、「世界を一周した食物」「貧者のパン


2014年5月18日


新潟に遊びに行った時に、お店が忙しいにもかかわらず、車で新潟市内を案内してくれた渡辺和美さん。Facebookで元気にお仕事されてる様子が伝わってきます。

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渡辺和美さんがマネージャーを務めるアリエールグーの「プリンセスサンデー」。とても美味しかったです。
https://m.facebook.com/events/639802492764710/




ジャガイモがスペイン人によって新大陸から旧大陸に渡り、ヨーロッパに普及していく過程を本で読みましたが、今までわたしが勝手にイメージしていたものとかなりかけ離れたものでした。


ジャガイモはインカ帝国の主要食糧だった

知りませんでした。
わたしもインカ帝国での主食はトウモロコシだと思っていたのですが、インカ時代の人骨のたんぱく質をを分析することで、主要食糧は、トウモロコシではなく、イモや豆類だったことがわかったそうです。

ジャガイモは、原産地がチチカカ湖周辺ということからもわかるように、4000メートルを超える冷涼な土地でも栽培できます。しかもデンプン質が豊富で、主食としてはうってつけです。

対して、トウモロコシは、成長が早く、収穫後の貯蔵も容易なのですが、温暖な気候を好む作物なので、標高3000メートル~3500メートルが限度で、アンデス地方全域での栽培はできない気候では、栽培ができないということも論拠のひとつです。

ペルーに住むインカの末裔のうち、山に住むものたちは、今でもジャガイモを主食としていて、ジャガイモを長期間保存できる乾燥イモにするなど、保存食としても利用されているようです。



ジャガイモはどのように大西洋を渡ったかが分かっていない

これも、驚きでした。めずらしい動植物として、スペイン王に献上されたとばかり思っていました。スペイン軍としてみれば、金銀と比べ価値のないものだったのでしょうね。

インカから略奪された黄金がどのように本国スペインに送られたか分かっているそうですが、ジャガイモはだれがスペインに持ち帰ったのかはっきりしないそうです。
新大陸のめずらしいお土産として持ち帰られたようです。

ヨーロッパに渡ってから30年後の17世紀初めには、ヨーロッパの11の国で、植物学者や研究者の間で植物見本として栽培された記録があるそうですが、食糧として本格的な栽培はされていなかったようです。



世界を一周した食物といわれている

トマトも新大陸で発見され、世界中に広がりましたが、この意義はジャガイモの方が大きいと思います。ジャガイモは栽培に手がかからず、しかも生産性が高い。ジャガイモを作ったことのある人なら分かると思うのですが、一つの株からとれるジャガイモの量が多いことには、いつも驚きます。

ジャガイモは16世紀にスペインに渡ってから、スペインからヨーロッパ各地に伝わりました。日本にも、16世紀末に、ジャワ島のジャカトラ(ジャカルタ)からオランダ人によって、もたらされたと言われています。

17~18世紀に、再び新大陸のアメリカに伝わりました。ヨーロッパ経由でアメリカに伝わったことから「世界一周した食物」と言われているそうです。これは、トマトも同じですね。

トマトと違う点の一つに、ジャガイモは栽培地域が多いということが挙げられます。ジャガイモは世界4大作物の一つにかぞえられ(他には、麦、米、トウモロコシ)、このうち、赤道直下から北極圏まで100を超える国で作られていいます。寒冷地から熱帯まで環境に関係なく栽培できるのが特長です。



ヨーロッパでのジャガイモの呼び名

スペイン、イタリアでの呼び名がスペイン語とイタリア語で「patata(バタータ)」ということは、知っていました。これは、アンデスでの呼び名「パパ」が変化したものだそうです。「papa(パパ)」はローマ法王の愛称と同じ音であるため、おそれ多いとされ、「パタータ」になったようです。英語のポテトもその流れです。

一方、フランス、オランダ、スウェーデンでは、「大地のリンゴ(ナシ)」と呼ばれているようです。これはが栄養価が高いことを表現しています。テレビのクイズ番組などで聞いたことはありましたが、たび重なる飢饉から救ってくれたジャガイモにたいする感謝の念が感じられる名前ですよね。

また、ドイツでは、「カルトッフェル」と呼ばれているそうで、これは、トリュフを意味するイタリア語から由来だといわれています。地下茎がトリュフのように見えたのでしょうね。



ジャガイモは、スペイン人が持ち帰ったものの中で、最良のもの

スペイン人ピサロは、インカの宮殿の装飾につかわれていた黄金を、溶かして延べ棒にして、本国スペインに持ち帰り、賞賛を浴びましたが、これらの金は、結局、母国にインフレを招いただけで、なにも残しませんでした。

一方で、船員のお土産としてスペインにもたされたジャガイモは、17世紀~19世紀のヨーロッパでの度重なる飢饉や戦乱のたびに、普及・栽培されて、食糧難から人民を救いました。、

飢饉の原因は、当時のヨーロッパを襲った慢性的な冷害だったようです。ジャガイモは冷涼な気候でも栽培できるのですが、芽にアルカロイド系毒素のソラニンがあるため、食用にできないという偏見があったようです。

ジャガイモのことを別名「貧者のパン」と呼ぶらしいですが、まさしく、冷害で貧しくなった北ヨーロッパの国で、満足に収穫できない麦に代わって、飢餓から人民を救ったという点で、スペイン人がジャガイモを新大陸から持ち帰ったことは、素晴らしい貢献だと思います。


次回につづきます。


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