瑠帷の家 -38ページ目
宛て先はこちら
誰にでも 私はなれるよ
明日はあなたになってみせようか
簡単さ 珍しくもない
あの女もやっているじゃないか
ああ けれど ああ わたし
自分にはなれない 捜してください
どうしてもなれない 拾ってください
あがいてもなれない 届けてください
誰にでも 私はなれるよ
お前の身代わりをしてみせようか
簡単さ 名残さえない
私の身代わりだっているのに
ああ けれど ああ わたし
自分を落としたの 捜してください
どこかに忘れたの 拾ってください
捨ててはいないの 届けてください
宛て先はこちら 見知らぬ私
宛て先はこちら 縁遠い私
宛て先はこちら まだ逢わぬ私
宛て先はこちら まだ逢えぬ私
花と川
いつもどんな時でも あの人のこと
考えているわけじゃない
いつもどんな時でも あの人のため
時を費やしてるわけじゃない
明日のこと 悩んで寂しくなったり
過去のこと 思い出して泣いたり
わたしだっていろいろあるから
いつもどんな時でもあの人のこと
考えている わけじゃない
ふとした時 ふとした時
会わなければ私が消えてしまうように思える
あの人にとってわたし 見知らぬ花
わたしにとってあの人 流れたい川
(2017.9.26更新)
(2018.5.30更新)
雨は人を選ばない
人の裁き方を知っていても
彼は自分の裁きを下さない
なのにどうしてその理に縋っているの
人の生まれ方を説明できても
彼女は自分の生まれる道を知らない
けれどそれでも誕生を見送りたい
孤独は一人一人が集うなかで
小糠雨のように降りかかる
伝う雫を拭っているうちに
花散らしの雨が降るだろう
紅葉の散り方を知っていても
色づくその気分まではわからない
だって待ち人はいつでも寂しいまま
川の流れ方を説明できても
旅する水の行く先までは知らない
誰が海の広さを知っているだろう
孤独を紛れさせようとして
時には色風に流されていく
濡れた肌を乾かすかのように
家風に吹かれて帰ろう
孤独はいつでも旅をして
寄り添い尽くしてまた旅立つ
足りぬ気してはまた焦り出し
戻るところを探すのだろう
雨、風、雪、泥
雨 どうせならコートを重くして
雨 どこへも走れないぐらいに
雨 どうせならこの身を削って
雨 どこにも飛ばされるぐらいに
風 どうせなら空から吹きつけて
風 どこへも動けないぐらいに
風 どうせなら底から吹き荒れて
風 どこにもいられないぐらいに
雪 どうせなら高い壁となれ
雪 どこまで凍えるだろうか
雪 どうせなら荒れた川となれ
雪 どこまで流れるだろうか
泥 どうしても
泥 どうして
泥 どうしても
泥 どうして
亡骸を抱えて
さっきわたしを殺したのはわたしです
何の罪に問われるでしょうか
執行猶予はつくんでしょうか
共犯者はいるとすれば無数
知りたければ夜の湖へおいでよ
あなたも知っている あなたも知っている
夜の湖がすべて映す
亡骸を抱えてどこへ行こうか
歩けども走れども 同じこと
行く先は水の底 暗い水の底
亡骸を抱えて走れ
夜の湖があなたを呼ぶ
何が映るのでしょうか
あなたも知っている あなたも知っている
夜の湖がすべて映す
亡骸を抱えてどこへ行こうか
倒れても倒れても 同じこと
行く先は水の底 暗い水の底
亡骸を抱えて走れ

