みなさんこんにちは。参議院議員の森まさこです。

 

 本日は、私が友好議員連盟の会長を務めておりますフィンランドで取り組みが行われている「オーロラAI」について、みなさまにご紹介いたします。

(2019年9月、フィンランド国会議事堂にて。)

 

 オーロラAIとはフィンランドの国家AI政策であり、フィンランド政府主体の官民一体型課題解決ネットワークです。従来のような縦割りのAI政策や政府側のニーズに基づくAI政策ではなく、市民起点の官民連携、省庁間の水平連携により、市民にとっての真の”Well-Being”(幸福)実現に資することを目的としています。

 

 以下では、オーロラAIの具体的な内容についてご説明いたします。

 

 オーロラAIとは、「Digital Me(電子上の仮想の自分)が自身のデータをもとにAIによって将来の行動を予測し動き、それに即したサービスをバーチャル上で受けながら、より具体化した実現可能性を測ることができるというシステム」です。

(引用:森まさこOFFICIAL BLOG by Ameba 『フィンランドの福祉等について』https://ameblo.jp/morimasako-iwaki/entry-12639939894.html?fbclid=IwAR3BmdmMZeyvHsjbQrRIcr64r0sIxpo0Xa4TW8zRSt3M-IHPFnUS7gvdD1Q

 

 まず、想定される市民像を設定し、その市民が幸福 (Well-Being) に生きるために必要とされるものを指標で示します。そしてその指標を用いることで、当該市民の“Digital Me”を構築します。

 上記の作業を通じて、当該市民が幸福に生活するために必要なサービスの洗い出しを進めていきます。

 

 続いて、Digital Me に当該市民が将来迎えるであろうライフイベントを架空で経験させ、ライフイベント毎にどのようなサービスが必要であるかをAIに予想させます。当該市民に心理学者や文化人類学者などが予め作成したライフイベント毎の質問に解答させ、AIによる分析を行うことで、個人にとって最適なサービスの抽出を行うのです。

(出所:一般社団法人スマートシティ・インスティテュート)

 

 

 現在、フィンランドでは財務省が主体となり、関連省庁や自治体、大学、企業などとの連携を通じて当該の政策を推進しております。残念ながら未だにオーロラAIに基づいたサービスの社会実装には至っておりませんが、いくつかのPoCs (Proof of concepts, 概念実証)が完了した段階にまで着実にその歩みを進めています。また日本国内においても、近年オーロラAIの導入を求める声が生まれています。

 

 加えて、フィンランドは人間中心主義、民主主義、法の支配等の価値観を共有する国々と連携関係を確立しており、それらの国々と協力することで、オーロラAIの考え方に基づくデジタル社会の実現を目指しています。そしてその中で、日本は「最優先のパートナー」として位置づけられています。

 

 オーロラAIに基づくサービスを実現させるには、官民のデータ連携が必須です。サービス提供が縦割りである現状を改め、官民様々な全てのプレーヤー間でデータ連携が行われなくてはなりません。

 

 我が国でも先月デジタル庁が設立されましたが、依然として縦割りの制度が主流です。私は現状の縦割り制度を打破し、オーロラAIのヒューマンセントリックな理念を見習うべきであると以前より提唱して参りました。今後も参議院筆頭副幹事長及び党副幹事長として、これらの実現が叶うまで継続して提唱していく所存です。