みなさまこんにちは、参議院議員の森まさこです。
今回は恩赦についてです。
恩赦の種類・仕組み
恩赦は、憲法第7条及び第73条に基づき、内閣が決定し、天皇が認証することとされています。
恩赦には2つ種類があり、恩赦法において
○政令をもって行う恩赦(政令恩赦)
○個別に行う恩赦(個別恩赦)
が定められています。
(厳密には、恩赦とは、行政権によって、国家刑罰権を消滅させ、裁判の内容を変更させ、又は裁判の効力を変更若しくは消滅させる行為とされています。)
①政令恩赦
政令で恩赦の対象となる罪や刑の種類、基準日等を定めて、その要件に該当する者について一律に行われるものです。
大赦、減刑、復権の3種類があり、実施される恩赦の種類ごとに大赦令、減刑令又は復権令が公布されます。
*政令とは、閣議によって決定し、される、内閣の制定する命令のことです。
②個別恩赦
有罪の裁判が確定した特定の者について、個別に恩赦を相当とするか否かを中央更生保護審査会(法務省に設置。委員長及び4人の委員で構成)が審査し、相当と判断された者について、内閣が決定し、天皇の認証を受けて行われるものです。
特赦、減刑、刑の執行の免除、復権の4種類があります。
常時いつでも行われるもの(常時恩赦)と、内閣が一定の基準を設け、一定の期間を限って行われるもの(特別基準恩赦)があります。
個別恩赦の手続について
個別恩赦の手続きは、検察官、刑事施設及び保護観察所の長が職権又は本人からの出願に基づき、中央更生保護審査会に上申をし、審査会が審査の結果、恩赦を実施すべきであると認める場合には、法務大臣に対しその旨の申出を行い、その申出がなされた者について、内閣が閣議により決定し、天皇が認証します。
即位の礼に当たり実施した恩赦
趣旨(法務省HP原文そのまま)
新しい令和の時代を迎え、即位の礼が行われます。この慶事に当たり、罪を犯した者の改善更生の意欲を高めさせ、その社会復帰を促進するという刑事政策的な見地から、今般、恩赦を実施することとなりました。
その恩赦の内容は、国民感情、特に犯罪被害者やその御遺族の心情等に配慮し、
(1)政令恩赦として、罰金刑を受け終わった者であって、かつ、3年間再び処罰されていないものについて、刑に処せられたため生じた資格の制限をなくす「復権」を行い、併せて、(2)特別基準恩赦として、一定の基準を定め、これに該当する者について、犯情、本人の性格及び行状、犯罪後の状況、社会の感情等を個別に審査して行う「刑の執行の免除」及び「復権」を実施するというものです。
内容
政令恩赦
(1) 恩赦の種類は復権のみに限定
*復権とは、刑を受け終わったものにつき、有罪の言い渡しによって生じた資格の制限がかからなくなるものです。国家資格の中には、罰金刑を受けたことによって資格取得を制限されるものがあります。
(2) 恩赦の対象は下記2つ両方に当てはまる者限定
・罰金刑のみであること。
・刑の執行終了又は執行の免除から令和元年10月22日の前日までに3年以上を経過していること。
特別基準恩赦
(1) 病気等で長期間刑の執行が停止され、なお長期にわたり執行困難な者に対する、刑の執行の免除
(2) 刑を受けたことが社会生活上の障害となっている罰金刑の執行終了者に対する、復権
恩赦の仕組み、そして、即位の礼にあたり実施されたのがどのような恩赦だったのかについてでした。
恩赦について
http://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo_hogo01.html#04
即位の礼のときの復権令と特別基準恩赦について