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通常のCT・MRIでは,高次脳機能障害等の外傷性脳損傷を裏付ける画像所見が得られない場合に,それに代わる証明する方法があるのか
現在、代替手段として問題になっているのはPET・SPECT・拡散テンソル画像・fMRIです。
[PET検査]
CT・MRIが「形」の異常を観察するための検査法であるのに対し、PETは「機能」の異常を観察するための検査法です。つまり、各器官が正常に働いているかどうかを検査するのです。主にがんの早期発見で有効とされています。
X線CTは、体の外部から放射線をあて、どの程度通過するかを検査することで「形」を判別します。これに対し、PETは、注射で体の内部に水やブドウ糖、アミノ酸などを注入し、そこから発する放射線の量で、対象となる部位の「機能」を判別します。その原理は、弊職には難しすぎてよくわかりませんが、各器官が正常に動いている場合と比較することで、動きが正常でないことが画像上わかるそうです。
したがって、高次脳機能障害で脳の活動が正常でない場合は、PET検査で異常がわかります。
しかし、わかるのは「脳の活動が正常でない」ということだけで、その原因はわかりません。うつ病でも、同じように異常が出ます。
したがって、PET検査で異常があることから証明できるのは、脳の働きが正常でないということだけで、びまん性軸索損傷だという「形態」の証明はできません。
ただ、補強証拠にはなります。
[SPECT(スペクト)検査]
これも、身体から放出される放射線を計測して画像を作成することで機能の異常を判別しようというものです。脳の血流状態がよくわかることから、脳血流量の測定につかわれており、主に認知症等の早期発見に有効とされています。
高次脳機能障害になれば、脳の血流も異常になりますから、やはりSPECT(スペクト)検査でも、異常を確認できます。
しかし、PET検査同様、わかるのは、「脳の血流状態がよくない」ということだけで、その原因はわかりません。認知症やうつ病等でも、同じような症状が出ます。
したがって、SPET検査で異常があることから証明できるのは、脳の血流が正常でないということだけで、びまん性軸索損傷だという「形態」の証明はできません。
ただ、補強証拠にはなります。
[fMRI脳機能画像]
MRIは、本来、脳の画像を確認するための装置です。このMRIを使って機能を測定しようというのが、磁気共鳴機能画像法(functional magnetic resonance imaging, fMRI)です。
この仕組みも複雑でよくわからないのですが、神経細胞が活発化すると、MRI信号が強くなるという特性を利用したものです。
体の各部位に酸素を供給するのは、ヘモグロビンと呼ばれる物質です。血液の中のヘモグロビンが、せっせせっせと脳神経に酸素を供給します。脳神経に酸素を渡したヘモグロビンは、「脱酸素ヘモグロビン」と呼ば、ごく弱い磁石のような性質(磁性)をもっています。この性質のため、MRIの磁場はわずかに乱されて、信号は弱められて返っていきます
ところが、脳神経細胞は活発化すると、その神経細胞に酸素を供給するため、酸素ヘモグロビンが脳神経細胞に大量に入り込んできます。そのため、磁場を乱していた脱酸素ヘモグロビンが少なくなって、弱められていたMRI信号の強さが回復して強くなります。
この信号の強弱を利用して、脳の活動を確認しようというものです。
これも、脳活動(あるいは脳機能)の画像化です。しかし、他の検査と異なり記憶や感情、言語などのいわゆる高次脳機能といった複雑な活動部位の機能状態を血流の低下があるか否かによって,ある程度推定することができます。
しかし、「現時点では微細な脳機能の低下に対してはまだ使える段階にはない。」といわれています(平成23年3月4日自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について報告書)。