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自賠責実務では、高次脳機能障害の認定要件として、事故直後の意識障害のほか画像所見を要求しています。

画像所見は、受傷直後の脳損傷を示す画像と障害が残存する証拠としての画像があります。



[事故直後]

まず受傷直後の画像所見ですが、自賠責は、脳内点状出血や脳室出血の画像所見を求めます。通常、びまん性軸索損傷するような交通事故では、微細血管損傷を伴うのが「普通」です。そこで、頭部外傷直後に脳内点状出血や脳室出血が認められるはずだ、というのが自賠責の主張です。

これはもっともな主張ですが、あくまでも、「通常」は、脳内点状出血や脳室出血があるというだけで、「必ず」脳内点状出血や脳室出血があるというわけではありません。

 脳内点状出血や脳室出血が画像所見上認められないからと言って、そこから、びまん性軸索損傷が発生していないとは言えません。

 なお、事故直後に発生した脳内点状出血は、まれに次第に拡大して脳内血腫に成長することもありますが,ほとんどは,そのまま消える,あるいは周囲に低吸収量を残して消えてしまいます。

 そのため、時間が多少経過した後にCTをとっても、画像には写りません。



[慢性期]

慢性期に入った段階で、自賠責では、高次脳機能障害の認定要件として脳室の拡大・脳の委縮の画像を要求しています。高次脳機能障害なら、脳室が拡大し、脳が委縮するはずだというのが、その主張の根拠です。

つまり、

 白質の神経線維(軸索)がびまん性に傷害され間引きされる。

  そうすると白質の体積が減少する。

そのかわりに脳室が拡大する。

  したがって、脳室が拡大・脳が委縮が、画像所見で現れるはずだ。



確かに、脳室の拡大・脳の委縮の画像は高次脳機能障害を証明するものですが、それでは、画像上、脳室の拡大・脳の委縮がなければ高次脳機能障害が存在しないと言えるかというと、「言えない」というのが医学会の「常識」です。臨床的にはその例外の症例が少なからず存在するとされているからです。



[CTとMRIのどちらが優れているか]

受傷直後の出血発見には、CTが一般的になっているようです。CTは、出血に対して高吸収値を示すからです。

しかし、慢性期では、脳室拡大・脳萎縮の確認では、CTは意味がなく、主に、MRIの、それも、T2強調画像が使われているようです。

 ただ,脳脊髄液も高信号を出します。そのため、FLAIR画像をもちいているようです。FLAIR画像では、脳脊髄液は低信号となるからです。