超一流ディレクター藤野義明さんの
【頑張っているのに報われない、不器用な人への処方箋】
YouTube「エガちゃんねる」や『さまぁ~ず×さまぁ~ず』、『ぷっすま』などなど数多くの人気番組を手がけるディレクターの藤野義明さんと対談させていただきました!
森:プロデューサーを志されたきっかけは何かあったのでしょうか。
藤野さん:実は、プロデューサーは結果的にやっているという感じなんですよ。
僕としては、ディレクターをずっとやっていましたし、ディレクターでありたいと思っています。
ディレクターは一言で言うと、テレビ番組を作る人ですね。プロデューサーは…お金の計算だったり、危機管理だとか、そういったことも行うと思っていただければ。
僕としてはただただ「面白い番組を作り出したい」という気持ちでずっとやっています!
ただ、今はYouTubeを使って江頭さんと協力して自分たちで番組を作っているので、結果的にプロデューサーとしての仕事もしていますね。
森: 藤野さんの根底にある思いとしては、面白い番組を作り上げたいということなのですね。藤野さんは、小さい頃からテレビ関係のお仕事を目指していたんでしょうか?
小さい頃はサッカー選手になりたいと思っていました。
高校まで目指していたんですが、サッカーでやっていくのはやはり難しいのかなと思いまして、とりあえず大学に行って大学で何をやりたいかしっかり考えようと思いました。
大学は明治大学の政治経済学部に進みました。
政治経済であればどこにでもつぶしが効くだろうと思ったんです。
学生時代は、文化祭だとか「みんなで何かを作る」イベントが大好きでした。
そこで、毎日が文化祭みたいじゃないかと思って、テレビ番組を作る仕事につきたいと考えるようになりました。
大学三年生の時に就活を考えだした頃、『内村プロデュース』という番組に憧れてケイマックスという会社に入りたいと考えたんです。
ケイマックスに電話をして、働かせてくださいと言ったんですが…。
森:すごい行動力ですね!!
藤:「素人はとってないんだよね」と断られてしまいました。
「かっこいい!これこそ、プロフェッショナル集団だ!!」と思って。
絶対にケイマックスで働くぞ、と決意したんです。
まずは別の制作会社に入って、一年間しっかり経験を積みました!
そして、熱意を伝えて、ケイマックスに入社出来たんです!5年間はADとして、奴隷のように働いていました。
過労死やパワハラが社会問題となったことで、今でこそテレビ業界もクリーンになっていますが、昔はひどかったですよ。
今ではそんな事はないと思いますが、昔はミスすると張り飛ばされたり蹴られたりなんてこともよくありました。
10人中9人辞めるような世界でした。
休みも取れなくて…、みんな会社の机に段ボールを置いて、歯ブラシや着替えをその中に入れてあるんですよ。
家にはたまに洗濯しに帰るような生活ですね。
森:うわぁ…、話には聞いたことありますが、やはり大変な世界なのですね。
そんな中で、藤野さんは辞めずに喰らい付いてこれたのは何故でしょうか?
藤:やっぱりいつか面白いものを作りたい、こんな番組を作りたいと言うビジョンがあったからだと思います。
なぜ今しんどい思いをしているのか、
何のために自分は頑張っているのかをしっかり考えていると、困難にも立ち向かえるのではないでしょうか。
森:ビジョンがあると耐えられますね!
この道に進んでよかったのかな?なんていう迷いもあったのでしょうか?
藤:それはあります。
テレビの業界に進むことを親にも反対されていましたし、大学の同期たちは皆銀行や商社などの一流企業に進んでいました。
僕だけ月給が20万円位で、飲み会にもなかなか行けませんでした。
悔しいという気持ちもありましたし、
これでよかったのかなという迷いももちろんありました。
でも、もう後戻りできないわけですから、自分が選んだ道を自分の力で正解にするしかないんですよね。
森:正解の選択肢を選べたかどうか、ではなくて、自分の力で正解にしていく、と考えたんですね。
藤:そうですね。
でも、昔はSNSが発達していなかったので、他の人の生活を見られないんですよね。
僕も仕事が大変だったけれども、周りのキラキラした生活を知らずにいられたので、頑張れたと言う部分もあるんじゃないかと思います。
その点で、他人の生活と比較してしまう今の若い人達はかわいそうですよね。
◎YouTubeチャンネル『エガちゃんねる』開設秘話
森: SNSといえば、最近は、一般人から芸能人までYouTubeで配信したりもしていますよね。
藤野さんが、江頭2:50さん主演のYouTubeチャンネル『エガちゃんねる』をはじめられたきっかけって何かあるのでしょうか。
藤:実は、江頭さんとはもう20年以上の付き合いなんですよ。
『みなさんのおかげ』『めちゃイケ』『ぷっすま』で江頭さんがよく出てくれていました。
その3つともまとめて終わったのが2018年のことでした。
江頭さんと飲みに行った時に「一緒に何かやりましょう!」という話になったんですよ。
ただ、いろんなプラットフォームに企画を持っていきましたが「他のタレントさんにしてはどうか?」と言われてしまうこともありました。
江頭さんは下ネタも過激ですし、
とにかく体を張っているので、「コンプライアンス上使いにくい」と判断されることも多くて。
でもそれではダメなんですよね。
僕は江頭さんと面白い番組を作りたかったんですよ。
そこで、YouTubeで自分たちで配信しようと決めました。
江頭さんは、ストイックで真面目で仕事に対して全力です。
ほんの一瞬の笑いのために、全力投球するんです。
江頭さんと仕事をした人は、皆江頭さんを好きになりますね。
ADよりも早く楽屋入りしますし、ADやスタッフ達にも気さくに話しかけてくれるんです。「体を張らずに、大御所のようなポジションでテレビに出るのはどうか?」と聞いてみましたが、
「それだったら、俺は売れなくてもいいよ」と言われてしまいましたね。
江頭さんのそんなブレないところに惚れ込んだんです。
森:江頭さんは周りの目をあまり気にしないで、自分を貫くんですね。
藤:気にしないですね。
髪の毛も自分で切ったり友達に切ってもらったりして、美容室に行かないんですよ。
森:えぇ!そうなんですか?
タレントさんは、美容にはこだわられているイメージでした。
藤:脱毛はしていましたけれども。
森:あ、脱毛はしているんですね。
江頭さんの肌を見せる芸風に更に磨きがかかりそうです。
藤野さん、ありがとうございました!
江頭さん、どうか突き進んでください!