旧友を悼む | 閑話休題

旧友を悼む

 年の暮れ、喪中はがきが届けられる季節に入った。今年も10枚を超えるだろう。その中の一人に、享年85歳の友の悲報が届いた。滋賀の産で、職を同じくしたのは6ケ月位だったが、ケレン味のない、上からも下からも愛された御仁であった。

 永らく病臥に近いと聞いていたが、西宮の住居を訪ねた人も、人が住んでおらず無人だという。或はとも考えたが、恐らく病院に入院されていることだと思い、連絡の途絶えたまま年末の喪中はがきで、すでに2月に、滋賀の故郷で亡くなられたことが分かった。

 

 一昔前、この君の尊父が無くなられた時、私は名古屋から会葬に出かけたことがあった。冬の伊吹おろしの雪の村道を、彼は白装束、はだしでわらじを履き、父の位牌を捧げて野辺送りをされた。その時の印象が今も残っているが、今度は彼が父の葬儀と同じように、古い田舎の葬儀にのっとって、寒中雪の降りしきる2月の野辺を黄泉の国に旅立たれた。

 

 都会では葬儀は簡単になり、家族葬でひそかに行わるようになった。しかしご先祖から引き継がている田舎の葬儀は、親子の過去・現在・未来の絆を強く意識したもので、人としてこれほど美しいものはない。田舎に故郷を持ち、先祖の墓の傍らに眠る者は幸せだ!