世界基準のHACCP体制を導入する12のステップ

  いま、食品企業が消費者から求められているのは、


         食の安全への信頼です。


     食品安全の国際基準であるHACCPで、



        衛生管理と安全体制を構築し、



   消費者と取引先からの信頼性を獲得しませんか。  


       

         HACCPの導入は、



    あなたの会社を儲かる会社に変えます。





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仕事が人についている

私はこれまで、二者監査やISO審査員として80社以上

食品企業を見てきました。


中小規模の食品企業では、自社ブランド製品よりも、

OEM製品(Original Equipment Manufacturer

製造に重点を置かれている企業が多い様に思いました。


その為、発注元からの要求内容は、

製品の品質保証は当然ながら、製造工程の衛生管理、

清掃管理の在り方、或いは従業員教育等を指摘されることが多くなります。


ついつい“細かいことを言いやがって”などと、

腹の中で苦虫をつぶす思いをするのですが、



発注元からの要求となれば無視するわけにも行かず、

指摘された課題への取り組みを行います。



それも、設備や機械などハード面への対応であれば、

形として継続的に一定の改善効果も得られます。



しかし、



個人衛生や清掃管理のようなソフト面の課題となると、

対策をとった直後は機能しているようでも、

2~3ヶ月もすると元の状態に戻ってしまうのがとても多いのです。






何故、継続できないのか? 






理由は簡単です。





新しい取り組みを決めても、担当者に任せっきりで、

その担当者が動かなければ事が進まない状況になっているからです。





つまり、“仕事が人に付いている”からで、

誰もが確実にカバーし合える組織の

「仕組み」として体制を作らなければ、

必ず同じ結果に辿り着くと断言します。





あなたの会社では、どの様に管理されていますか。

















危害分析重要管理点 HACCPについて

従来の食品安全確保の方法は、出来上がった最終製品の一部をサンプリングして、そこに問題がなかったら、全てに問題がないという考え方で行っていました。しかし、この方法では検査しなかった製品の安全性が必ずしも保証されるものではないので、安全性を高めるためには検査数の増加が必要であり、コストや時間も多く使うことになります。

 一方、HACCPでは、食品工場での加工工程中における製品の安全性について、発生するかも知れない危害を、科学的に裏付けられた情報やデータによって予測し、全ての製品に対する危害防止対策や管理方法を明確にして、食品の安全性を確保するシステムです。

 しかし、HACCPの導入には、その土台となる基本的な衛生管理が必要です。HACCPシステムで製造工程の管理を行うとは言っても、施設や設備、器具や機械、或いは働く人の手指が汚れていたり、食品を不衛生に取扱っていたのでは食品の安全性を確保することは困難になります。この様な基本的な衛生管理を一般衛生管理といいます。

そして、一般衛生管理は、法律や条令による規制事項が定められていて、施設基準や管理運営基準を遵守するように、次の10項目を実践することを求めています。


            ①施設設備、機械器具の衛生管理 
                 ・・・・・施設設備、機械器具を衛生的に

            ②施設設備、機械器具の保守点検 
                 ・・・・・施設設備、機械器具のメンテナンス

            ③従事者の衛生管理       
                 ・・・・・働く人達の手指や服装を清潔に

            ④従事者の教育訓練       
                 ・・・・・働く人達の衛生意識の教育訓練

            ⑤そ族昆虫の防除(ペストコントロール)
                 ・・・・・鼠や害虫が進入しないように

            ⑥食品等の衛生的な取扱い     
                 ・・・・・食品を清潔に扱う手順

            ⑦排水及び廃棄物の衛生管理    
                 ・・・・・排水や廃棄物の処置方法

            ⑧使用水の衛生管理        
                 ・・・・・使用する水は清潔か
            
            ⑨食品回収のプログラム      
                 ・・・・・食品事故が発生した時の対応手順

            ⑩試験検査設備の保守点検     
                 ・・・・・検査に使う機器や設備は正確か


一般衛生管理は文字にすると難しい事を言ってるように見えますが、食品を取り扱う事業者ならば、当然実施しなければならない基本中の基本の事柄ばかりです。これらの事項を守らなければ必然的に事故や事件の発生を招き、大きな損失に繋がるということを肝に銘じて行きたいと思います。
以上

食の安全・安心について考える

ある洋生菓子製造販売企業の経営者の方と、食品製造の安全・安心についてお話をした。

この会社は、従業員数30名弱、年商約1億円、社長は創業家の中小企業で、商品は完成した製品を全て急速冷凍し、レストランやホテルなどの業務用として販売している。 その為、クリームなどの生ものを使用していても、解凍前であれば通常の生もの製品に比べて、はるかに日持ちは良いことになる。
また、製品のデザインも洗練されていて、味の品質においてもそれなりに評価される製品です。

しかし、製造現場を見ると、壁は全面に黒カビが発生し、床には恒常的な水溜まり、窓網の穴から飛来虫が進入し、冷蔵庫のスノコを上げてみるとドロが溜まりダンゴムシ等の害虫が発生している。更に、器具・容器の洗い物は床に直置きされて散乱している、添加物などの日付管理はいい加減という具合で、当然、従業員教育も行われてなく、とても生製品の製造をしている工場とは思えないものであった。
この話、信じられないかも知れないけれど、本当の話です。


よくぞこれで、食中毒事故が起きないものだと、呆れると共に感心したり(?)したのだが、納品された製品からは、糸屑、害虫、ビニール片といった異物混入や許容外の菌数検出が頻発していたのだから、賢明な顧客は騙せない。
顧客からは問題が発生する度に、再三の改善要求が出されていたが、その都度ワンパターンの回答提出を繰り返していました。しかし、結局は年間数千万円の取引をしていた企業との取引を一気に停止されたのである。更には、余りにも状態が悪く、改善にはコストがかかりすぎるとの理由で、工場そのものを閉鎖せざるを得なくなったのである。


 実は、この問題を提起したのは私で、前述の取引停止後に依頼を受けて、半年に渡って多少とも改善を進めている段階でした。
私自身は、ISO審査員やコンサルの活動を通じて、これまでにも数十社の様々な食品工場を見て改善を行っているので、指摘に問題は無いと確信していますが、改善への施設・設備の問題を認識していても、費用面での負担を忌避されていたので、出来る事は清掃への取り組み方等、作業する人の行動パターンを変えることだけになってしまったのである。
人の意識を変え、行動を変えていく作業は、易しくはない作業です。特に、組織としての食品安全構築の仕組み作り(役割に伴う責任と権限を明確にし、管理方法のシステム化を提起した)が出来ないままで、個人の意識だけに訴える方法では自ずから限界も見えています。
だから、そうした作業の途上で出された社長決断は、私個人にとっては残念な結論であったが、もし、前述したような製造環境の中で製造を続けていたら、取引停止どころではないもっと大きな問題が、必ず起こっていたであろうと思う。 
その意味から考えるならば、工場閉鎖という社長の決断は正しかったと思います。

それにしても、本件のような強烈な事例は、希な事例だと思っています。
ただ、本件の本質にある問題は、人材育成に係わる教育・訓練の不備、組織力としてのマネジメント体制の脆弱さ、社内コミュニケーションの不足、特に、現場を見ようとしないで業務を丸投げしている管理者の存在である。
 
 結果として、トップは衛生や安全を守りきれないと判断し、工場閉鎖という危機管理上の決断をせざるを得なかったのだから・・・・・ 
「誰が悪い」かの評価は本文の真意ではないので控えておくが、中小の食品企業が多少とも抱えている問題が多く露呈されていると思います。
製造現場にいる当事者達が、問題を問題と気付かない、或いは気付いていても対処しない、これこそが顧客(消費者)の信頼を損ねる最大の原因だと思います。

 食品企業が果たすべき使命は、あくまでも安全で、消費者に安心される製品を提供し続けることである。
 私達、食品業界に関わる者達は、今こそ、その為に果たすべき使命を自覚して、消費者からの信頼性向上に向かわなければならないと考えます。

                                              以上